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The flower of Eden
No.2 闇にしずむ


気がつけば私は真っ黒な世界にいた



暗い寒い痛い憎い悲しい苦しい離さない逃がさない許さない赦さない憎め蔑め奪え苦しめ悲しめ哀しめ憐れめ傷つけ合え



色んな感情が頭のなかでぐるぐるとまわる


くるしいと心が叫ぶ
にげたいと体が訴える


苦しくて悲しくて、私は暗い世界のなかで蹲って涙を流した


泣き虫なのは私の悪い癖だった


今までみんながいてくれたから笑えたのに

大切な人を失くした私は笑えない

悲しんだってみんなが戻ってくる訳じゃない

そんなのわかってる

分かってるのに、受け入れられなくて


現実から目を背けて逃げ出して泣き喚く


いたいよ
くるしいよ
かなしいよ


だれかたすけて
だれかすくって
だれかこわして



そう願うたびに、自分がこの真っ暗な世界に飲み込まれていく感覚がした



もういっそのこと壊してほしい
彼らを守れない私など消えてしまえ
このまま闇に呑まれてしまえ



引きずり込まれていく感覚がした

意識が遠退いていく


『……これが報いか……』


自嘲気味に笑みを浮かべ、瞼を閉じた


そのときだった




《待って!!》




誰かの声がした


《行かないで》


ぐ、と腕をつかまれる


『……あなたは誰………?』


《俺はイグニスだよ!よろしくね!!》


なぜか自己紹介をされながら、ずるずると引っ張られていく


閉じた瞼に淡い光が射しこんだ


薄く目を開ければ、私の前には光を纏った少年が立っている


『あなたがイグニスくん……?』


《そうだよ!俺がイグニスさ!!》



なぜか妙にテンションが高かった。





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