The flower of Eden
No.1 ハジマリ
ひとり、ふたりと消えていく
私の目の前で赤が飛ぶ
ごめんなさい、と何度叫んだだろうか
何度彼らの名前を、叫んだだろうか
何よりも大切な仲間はもう動かない
彼らと笑いあうことも
彼らと喜びあうことも
彼らと生きていくこともできやしない
仲間は全員死んでしまった
私も、もうすぐ死ぬ
違う
私ももうすぐ殺される
目の前の男によって
「やあ、ドンナ・ボンゴレ」
男は柔らかく笑いかけた
その笑顔がどうしようもなく怖かった
「そんなに怯えないでよ♪」
『はっ………!!』
ギリッ、と奥歯を噛み締める
「イイ顔」
男の手が頬に触れる
『触るな……ッ!!』
「あらら……」
触れた手を弾き、愛用の武器を構えれば
残念そうに男は笑う
『私はお前を許さない、白蘭!!!』
「許さない?」
男ーーー白蘭を睨みつければ、彼は楽しそうに口角をつりあげた
「逃げ出したくせに」
「仲間もいないくせに」
「弱いくせに」
言葉の一つ一つが心に突き刺さる
「自分の仲間も守れないくせに」
その一言が、深く、鋭く突き刺さった
『っ……』
大切な人を必ず守ると
強くなると決めた
なのに私は守れなかった
彼らを見殺しにした
彼らの命を無駄にした
罪悪感が胸を締め付ける
俯いた私を見て、白蘭は笑みを深くする
「夏目チャン」
また私に手を伸ばした、と思ったとたん
グチュッ
『う゛あ゛あぁ゛あ゛ああ゛あ゛ああ゛あぁ゛ぁあ゛ーーーーー!!!!!!?』
左目に走る激痛に、思わず地面に膝をつく
「キレーな金色♪」
「う……ぁ゛あ゛っ……!!!!』
視覚が真っ赤に染まる
「痛みに歪む君の顔はサイコーだね」
白蘭はさぞ愉しそうに笑う
「もっと見ていたいけど……
そろそろボクは行かなくちゃ
君の友人を消しに」
『な、ぁ゛……!?
やめろッ!!!』
そう叫べば、眉間に銃を突きつけられる
『やめろ!!!
あの人たちに手を出すな!!!!』
「この世界はなかなか愉しめたよ」
『白蘭ッ!!!!!!!!』
「君はここで脱落だ
すぐに友人も君のところに送ってあげるよ」
『やめろぉぉぉおおおおお!!!!!!!』
「Addio」
パンッ
乾いた音が鳴り響く
それきり、静寂が広がった
真っ白な男は愉しそうに口角をつりあげ
右手の中のモノを握りつぶす
「あとひとつ♪」
静寂が支配する部屋には、男の笑う声だけが響き渡った
これは
彼女の物語の終焉にして始まりだと言うことを
まだ、誰も知らない…………
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