[前]雲色の願い
2
恭樺は苦しいのか胸元を、ぎゅっと握り締め
苦痛に顔を歪めていた。
「ひ、雲雀さん…?」
恭樺が寝ているベッドに近付く綱吉。
よほど苦しいのか、いつもなら気付く小さな音でも、気付く事はなかった。
「は…ぁ、…は、…」
「雲雀さん…?だ、大丈夫ですか…?」
綱吉はゆっくり恭樺の顔を覗き込んだ。
その時、
「…ん…」
「!!」
ゆっくりと瞼が上がった。
(かっ咬み殺される!!?)
綱吉の予想は、
外れた。
「っえ…わっ……」
─ドサリ。
「え…っ」
綱吉は腕を掴まれ、そのままベッド引きづり込まれた。
そして、腕の中に
柔らかく、温かい、何か…
「…ひばり…さ…?」
腕の中には恭樺がいた。
すがるように、離さないように…
綱吉の服を握り締めていた。
あまりの近さに綱吉は狼狽えた。
(え────!?どっ…どうしようっ…)
どうすればいいか、考えるたび
恭樺の熱、息遣い、柔らかさ…
全てを敏感に感じ取ってしまう。
──鼓動が早く、大きくなる。
(このドキドキの)
(意味は何?)
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