[前]夜空舞う、銀の蝶
3
ガラッ
保健室に着いたは良いけど、肝心の保険医がいない。
これじゃあ意味ないじゃん。
「隼人君、先生いないし…教室戻ろ?」
「…応急処置ぐらいできるだろ」
椅子に座れ、と言われたので大人しく椅子に座った。救急箱を持った隼人君が向いに座る。
「手、出せ」
「ん」
変な音がした指を出すと、テキパキ応急処置をやる隼人君。
指を見れば綺麗に包帯がまかれていた。
「…ありがとう」
にっこりと笑って言えば、別に、と目を逸した。
「…蝶」
「何?」
「…なんで、かばった?」
かばった?…あぁ、さっきの…
なんでって言われても…
「彼を守るって、決めたから」
どんな小さな事でも、彼を守るんだ。
そう、決めたんだ。
「…」
下を見ていた隼人君は、立ち上がりドアに手をかけた。
「隼人君…?」
「蝶の守りたいと思う奴がどんなもんか、確かめる」
(え…?)
(ちょっ、隼人君…)
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