[前]夜空舞う、銀の蝶
入院
ハァ…
小さな溜め息を漏らす。
なぜ゙小さな溜め息゙かって言うと
恭弥先輩が居るから。
正確には、私が恭弥先輩の病室に居るんだけど…
先輩は今丁度眠っているので、物音を立ててはならないのだ(これ鉄則)。
昨日あたり、寝ている先輩の顔は辛そうだった。
今も少し辛そうだけど、昨日よりマシみたいだ。
あの最凶でも風邪はひく。やっぱり人間だなぁ…
なんて考えながら、起きたら食べるように林檎を食べやすい大きさにしたり蜜柑を剥いておいたりした。
で、今やっと落ち着いたトコ。
先輩の額に少し触れる。
まだ、少し熱い額に冷えピタを貼っておく事にする(冷えピタ考えた人は凄いね)。
「…ん…」
「……先輩?」
小さく声を出した先輩。
同時に、手に温もりを感じた。
先輩の手が私の手を掴んでいた。
体育祭の時と比べるとやっぱり熱い。
「………」
ゆっくりと先輩の手に手を添えた。
包むように握り締めた。
(…先輩、私、怖いです)
(なんとなく思った)
(なんとなく告げたかった)
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