[携帯モード] [URL送信]

小説2
とんだ間違い



「なっ!っっっ!!………何だよ、これっ!?」


高校入学目前。
ボンゴレ坊主と同じ高校に進学の決まった隼人は、上機嫌で届いたばかりの制服の入った荷物を開けていた。


―――筈が、ぷるぷると体を小刻みに震わせ、鬼の形相で詰め寄って来た。


「うるせ〜ぞ〜。大声出して」
「変態!エロ医者!!」
ばしっと、制服らしき物を投げ付けられる。
「あ〜…あ、こんなにしたら皺になるぞ」
さっきまでご機嫌だったのに、どうしたんだろうか?
「俺は男だっ!!」
「知ってるぞ」
そりゃ〜体の隅々まで、よおぉ〜〜〜く知っている。本人以上に。
「エロい事に直結させるな!」
がすっと、腹に蹴りが入る。
「ぐはっっ」
言葉に出して無いのに、痛みをともなった鋭い突っ込み。


つ〜か、何にそんなに怒っているのかわからない。
高校入学の雑多な手続き諸々を、面倒がる隼人に変わって全てやってやったのに。
感謝されども、怒られる覚えは無い。


「てめーの頭の上の物を、良く見やがれ!」
投げ付けられ、頭から垂れ下がる物を広げる。
「制服の上と……」
ぴらりと広げたのはブレザーと………
「ん?」
スカート???
丈の短いプリーツのスカート。
「どーいう事だよ!!!」


女子の制服………?





制服の注文をした。担当スタッフが可愛い女の子で、かなりテンションが上がった。
日本に来てから、何だかんだと隼人専な俺。
可愛い女の子との会話を楽しむぐらい良いだろうと、幸せな時間を満喫した。


そうそう。それで……


『日本語お上手なんですね』
にこにこ笑顔で言われたから、かなり好感触だと喜んで。そしたら―――『お子さんもお上手なんですか?』―――と言われた。
『いや、子供じゃないんだよね』
『恋人です』と言う訳にもいかないし、かといって子持ちの親父と思われるのも嫌だ。


ここまでは、何の問題も無いよな……?


『そうなんですか〜。以前のお勤め先のお子さんの面倒を見てあげるなんて、お優しいんですね』
『昔は可愛かったんだけどね〜、生意気になっちゃって』
『あら?反抗期ですか?』


そうそう、『生意気になっちゃって〜』って言いながら―――


『昔は可愛かったんだけどね〜。よく懐いていて、こんな生意気な性格になるとは思わなくってさ〜』
だけど―――『見た目は、予想以上の出来に成長したんだよね』


『色白で透ける様な肌だし、目の色とか綺麗な碧で、睫毛もすんげ〜長いんだよ。
元々可愛かったんだけど、これが将来美人間違い無しな感じに成長中でね〜』


うん?何か、怪しくなってきたぞ……
「俺、もしや……」
親馬鹿状態っていうか、惚気てたとか?
美人、美人と連呼した様な……気がする。


『美人で、こんなにスタイルが良いなんて羨ましいです』
制服の注文書に記されていた数字から、スタイルを想像したらしい。
『ちょっと細すぎだけどね〜』


「注文書に記入したのって……」
身長と、ウエストサイズだけだった気が……


美人と散々自慢した会話で、担当スタッフはすっかり女子生徒と信じて……
会話を楽しんでいたシャマルも、誤解を生んでいるとは気が付かず……





改めて注文した制服で、無事に入学を果たした隼人。
女子用の制服は―――返品せずに、シャマルのクローゼットにこっそり隠されている―――いつか、チャンスを見て着せてみようかと企みつつ………



《後書き》
うっかり確認を怠って……
こんな間違い、いくらなんでも無いでしょう……
女装プレイに目覚めるとか!?(笑)


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!