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明かりに照らされた面立ちは、些かやつれて見えた。

「失礼いたします」

断りを入れてから、細く白い手をとる。手首に指を添えて脈を測りながら、見える範囲で状態を確認する。

「ん?」
「どうした?」

側にいる女房には気づかれぬ様に、姫を指差す。

「これは……」

真意に気づいた騰蛇の瞳が剣呑に光る。
本当に微弱だが、姫から妖気が感じられる。姫の手を取るまで全く気づかなかった。

「なんだ? この妖気は……」

騰蛇の言葉に、僅かに首を振る。
脈を診ていた手を戻すと、女房へと向き直る。

「女房殿、姫君が病に臥したのはいつ頃の事ですか?」
「ひと月ほど前に急に」

高熱にうなされる姫を見兼ねて、佐竹はできうる手を打ったのだそうだ。

「その少し後に、謎の妖が屋敷を襲いまして。徳重様はその妖の仕業ではないかと……」

よく言うなぁと思うが、決して口には出さない。手を尽くした結果が、昭一に対する脅しなんだから。

「病に臥された頃に、何か変わった事はありませんでしたか?」
「あの、関係があるかはわかりませんが」

虫に刺された様な赤い腫れ物があるのだと言って、女房は姫の袖を捲る。
腕には確かに赤い腫れ物があり、妖気はそこから放たれている。

「………これは、妖によるものかもしれません。おそらく、その妖を退治しない限り、姫君を蝕む病は消えないでしょう」
「そんなっ! なんとかならないのですか」

安心させるように宥めると、懐から紙に包まれた粉薬を取り出す。

「熱を下げる薬です。その場逃れですが、苦痛を和らげることが出来るでしょう」

姫を苦しめる妖は近日中に退治いたしますのでと、佐竹に報告し、その日は屋敷を後にした。



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あきゅろす。
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