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「あ、転がっている奴らを持って行って貰えばよかった」

このまま地面で寝たら風邪をひいてしまうのではないだろうか。
原因を作った本人が言うべき事ではないのだが。

「まぁ、いいか。自業自得なわけだし……」

神剣を一降りすると、淡い光を放ちながら瞬く間に手から消えていく。
帯びることも可能だが、帯刀していると少々目立ってしまう。
印を組めばどこにでも出せ、使わなくなったらしまえるというのは案外楽だ。

「さて、帰ろうかな……」

周囲に危険はなさそうだし、騒ぎを聞き付けた者達がやって来ても面倒だ。
なにせ自分には、名乗れる身分はないようなものなのだから。


もと来た道を戻ろうと踵を返した所で、控え目な声に呼び止められた。
声のした方を見れば、先ほど庇った牛引きが深々と頭を下げているではないか。

「先程はお助けいただきましてありがとうございました。主人様がお礼を申したいと申しております」

一瞬、断ろうと思ったが、断れば牛引きが主人とやらに咎められるのではないのだろうか。
それはそれで気分が悪い。

牛引きに頷いて見せ、ゆっくりと牛車へと近づいて行った。




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