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二条大路に出ると、堀川小路よりも少し内裏側の道端が何やら騒がしくなっている。

よく見れば、一台の牛車が数人の人間に襲われているらしい。

夜目が効くように術を掛けているので、暗さは問題ない。

「内裏から程近い場所でよくやるよ」

参内するところか、帰るところかは知らないが、待ち伏せしていたのだろう。

どうやら、襲われている側が劣勢らしい。

「仕方ない」

外獅子印を組むと、両の掌をあわせる。
ぱんと音を立てて、拝む様に合わせた掌から淡い光がこぼれだす。

そのままゆっくりと両手を離していけば、その間からを一筋の光が溢れる。

ある程度まで手を離した所で、光が消え、一降りの剣が姿を現した。

中に浮くそれを右の手に取る。

剣の刀身は漆黒。柄も、僅かな装飾品も、全てが黒。

退魔の力を有した神剣。
持ち主の斬りたいものだけを切る剣だ。

「さて、散らすか」

神剣を片手に、牛車を襲う一団に向けて駆け出した。



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