2 二条大路に出ると、堀川小路よりも少し内裏側の道端が何やら騒がしくなっている。 よく見れば、一台の牛車が数人の人間に襲われているらしい。 夜目が効くように術を掛けているので、暗さは問題ない。 「内裏から程近い場所でよくやるよ」 参内するところか、帰るところかは知らないが、待ち伏せしていたのだろう。 どうやら、襲われている側が劣勢らしい。 「仕方ない」 外獅子印を組むと、両の掌をあわせる。 ぱんと音を立てて、拝む様に合わせた掌から淡い光がこぼれだす。 そのままゆっくりと両手を離していけば、その間からを一筋の光が溢れる。 ある程度まで手を離した所で、光が消え、一降りの剣が姿を現した。 中に浮くそれを右の手に取る。 剣の刀身は漆黒。柄も、僅かな装飾品も、全てが黒。 退魔の力を有した神剣。 持ち主の斬りたいものだけを切る剣だ。 「さて、散らすか」 神剣を片手に、牛車を襲う一団に向けて駆け出した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |