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夜警を終えて昌浩と別れた後、夜明けまでの残された時間を使って都を捜索するのにももう慣れた。

明日も出仕しなければならない昌浩は、安倍邸に戻ってから僅かな仮眠をとって睡眠不足を補っているらしい。

「昌浩に休むように言おうかな」

周囲に誰もいないので、普段は改めている口調も砕けたものになる。
雑鬼達には気を使う必要はないだろうが、安倍の者には気を使わなければならないだろう。

礼儀を欠けは、師に叱られる。

「人で無しだしなぁ。うちの師匠は……」

例えるならば、鬼よりも鬼らしくだろうか。
とにかく、人の括りに入れてはいけない気がする。

「ん?」

道の向こうが騒がしい。
堀川小路を北上していたのだが、二条大路と交わる付近で人の気配がする。

悲鳴や怒号が聞こえてくる。

「むやみやたらに人に姿を曝したくないんだけど……」

もしも襲われていたら、目覚めが悪い。

己の人の良さに、大きくため息をつくと、騒ぎの起こっている方へと走り出した。




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あきゅろす。
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