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真子姫の手が震えていた事は、自分も気づいたのだから、勾陣も気付いているだろう。
このような場で舞を舞うことに対する緊張からか……。そう考えれば不自然ではない。
不自然ではないのだが、どうしても引っ掛かる。
「如何かなされまして?」
「いえ……」
急に黙ってしまった事を訝しった真子は、艶やかな髪を揺らして首を傾げている。
表情だけを見れば、やはり不自然などはないのだが。
その手は未だ、小刻みに震えているのだ。
真意を測るべく、真子の黒い瞳を見つめる。自分の右目は時として、人の奥深くをも見抜く事ができるのだ。
無言で見つめられた真子は、居心地の悪さを感じてその身を引く。
その瞬間、真子の瞳が不安に揺れた。
「真子姫様?」
何気ない問い掛けに、真子の肩が跳ね上がる。
彼女の衣装を見渡せば、あってはならない皺が寄っているではないか。
まさかという想いが、自身の内側を駆け上がる。
『これは……!』
勾陳の驚いた声と、何かが倒れる音は、ほほ同時に耳に届いた。
「しまった……」
室内に広がる光景に、思わず息を呑む。
つい先程まで談笑していた姫たちは、一様にしてその身を横たえている。室内で身体を起こしているのは、自分と真子の二人だけ。
「なんという……」
己の失態に毒づきたいのを堪えて、近くにいた姫の口元に手をあてる。
規則正しく息をしている。命がどうという問題ではなく、単に眠っているのだろう。呪詛の様な類であれば、自分の瞳がそれを捉えるだろうし、先に貼った符がそれを阻んでいるはずだ。
「真子姫、あなたですね?」
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