チョコミント。
3
『お父さん。なに…これ。』
リビングに入るなり、お皿に盛りつけされてる物を見て唖然となった。
夕食はビーフシチュー。と、聞いていた…はず。
なにこれ。
私の聞き間違いかなんかかな?
「あっははー。なんか和樹くんがお肉苦手らしくてさ。」
『いやいや、私はそいう事を聞いてるんじゃなくて…』
夕食のビーフシチューらしき物は、肉は米並みに小さくて少ししか入っておらず、野菜は大人の男性の拳分くらいのデカさだ。
『お父さん…レシピ見たの?』
冷たい目線で父を見る。
「おぉ!見たとも!何やら圧力鍋で経ったの5分で出来るらしいぞ!それがコレだ!」
キラキラした目でそんな事を言う。
頭がクラクラしてきた…。
やっぱり私が夕食作れば良かった…。
今更後悔している私を知らずか、父は「さー、冷めない内に食べようか♪」とかほざいている。
とりあえず席に付き
「さぁてと、みんなでせーの♪」
父が明るく叫ぶ。
「いっただっきまーす♪」
「…頂きます。」
神田もワンテンポ遅れて『あ、いただきます…』
とりあえず、私も食べ始める。
意外と味は悪くないかな?
野菜が、めちゃくちゃ食べにくいが…。
チラッと、黙々と食べている神田を見た。
不意にさっきの事が蘇る。
「その作り笑い辞めたら?気持ち悪い」
…気持ち悪いだと?
人んちに住むことになった奴の態度かそれがッ!
『…ムカつく』
奏に似てるから、
まぁそれなりに優しくしてやろうと思ったけど…
前言撤回!
だーもーッ!
考えないようにしよ!
「弥生、それに和樹くん」
夕食を食べ終わり、父が私と神田を呼び止めた。
『ん?』「はい」
私と神田が、ほぼ同時に返事をした。
父は、真面目な顔をして「すまないけど…明日から俺はパリに行く。」
イキナリ、パリに行く宣言。
私にとって、父がフラフラとどこかに行く事はいつもの事なので、普段ならあまり動揺はしないのだが…。
『そ…それってどれくらい?』
少し、動揺する。
父がいない間は、神田和樹と2人きり…。
嫌ぁッ!
絶対コイツと2人きりにはなりたくい!
「んー…それがなぁ…」
嫌な予感。
「3週間くらい…かな☆」
今、語尾にテヘッ☆
みたいな顔したぞオイ。
「…3週間ですか」
神田が淡々と応える。
「ちょっとパリで大規模な写真展が行われてなー。短くて3週間なんだなコレが」
うんうん、と頷きながら腕を組む。
父の仕事は写真家。
しかも結構有名らしく
そこで父の写真も展示されるらしい。
って!そーじゃなくて!そーゆー事は前もって言っとけ!
「家事分担は宜しくな。」
私が呆然としているなか、「はい。あまり家事とかは得意では無いですけど、弥生さんに教えてもらいながら頑張ります。」
少し口角を上げて神田が父に言う。
…はぁ?!
今、コイツなんて言った?!
「宜しくね、弥生さん。」
神田がこちらを向いて微笑む。
お前だって作り笑いしてんじゃねーかッ!
『…何が宜しくだ。』
ボソッと呟く。
「おー?なんだかもう仲良くなってるみたいだな!2人共。」
私の呟きは虚しく、
『…はぁ〜』
思わずため息が出た。
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