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半熟騎士の日記帳
第一章 建国記念祭
「では、ご期待に沿って、もう一曲」
 迷惑顔のヤトに目配せをし、
「……よろしければ、お相手願えますか? 小さな騎士様」
 手をとり、口づけする。
 その相手は、騎士学校の制服に身を包んだ少年である。
 名は、アシュレイ・ィル・ラナフォード。
 先のアレイスの息子である。
 彼は、にっこりと少女に微笑み返した。
 ヤトの演奏が始まる。
 鋭く激しい音律に、アシュレイは迷わず腰に下げた剣を突き出した。
 が――そこにいるはずの少女の姿は既にない。
 彼女は、少年の振るった切っ先がその身に振れる直前、一足飛びに大きく後に退いていた。
 続く踏み込み、そして、一閃。
 火花を散らし、剣と剣が触れ合う。
 交錯。
 二人の立ち位置が入れ替わり、背中合わせに。
 振り向きざまの一太刀は、あっさりとかわされる。
 一同が息を呑んで見守る中、アシュレイは首をかしげた。
「……おや?」
 もう一度、繰り返してみるが、結果は同じだった。

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あきゅろす。
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