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黒を司る処刑人
1:処刑する者、される者W
「これで四件起こったんだよな」
「ああ、最近ホント物騒だよ。死者は五人も出てるんだから」
「けっこう無差別みたい。通り魔の仕業かな」
「怖いよね〜」

 クラスでは同じような話題が繰り広げられていた。それは今メデイアでよく報道されている、凶悪な連続殺人事件だ。
 どの現場にも、嫌というほど血の跡があるのが共通している。死体はバラバラでかなり飛び散っていて、酷い有り様らしい。それもパーツの所々が消えてなくなっているという。手掛りは已然見付かっていない。もちろん犯人の目星、動機等も不明なままだった。


 一件目は工事現場で起こった。被害者は男性二人。男性だというのも……いや人間というのも辛うじてわかるくらいだとか。

 二件目はビルの屋上で女性一人が血の海に伏せていた。もちろん女性というのも免許証の類によるもの。顔では判断が付かず、右手、左足が消え失せていた。

 三件目。人気のない裏通りにて男性と女性。この時は、首から上や胴の右半分がなかったらしい。

 こんなのが、自分達の住む街で三件も立て続けに起これば話題として持ち上がるのは当然だろう。

 私も当然知っているものであるが、ふと違和感があった。クラスでは私の知らない四件目が加わっていた。

「ねぇ優子。あの事件って四件目あったっけ?」
「え? さぁ……。三件目までなら知ってるけど……」
「あったわよ。昨日なんだけどね」

 加奈が得意気に答えてくれた。

「今朝のニュースでやってたからね。遅刻してきた二人は知らないはずよね」
「遅刻は紗希だけだってば」

 似たようなもんだけど。と心の中で突っ込んでおいた。

「四件目はどんなだったの?」
「僕が教えてあげる」

 優子の問いに勇ましく前に出たのは狭山だ。出番を窺ってたかのようである。ていうか、いつまでくっついてくるのか。

「四件目の死者は女性が二人。まぁ悲惨であること以外には、今までと大きくは変わらない。ただ……」
「ただ……なに?」
「死者が出たのは確かなんだけど、今までのとは少し違うようなんだ」
「もったいぶらずに言ってよ」
「わ、わかったから。サキリン。拳つくるなよ」
「サキリン言うな!」
「ストップ、ストップ! で、何が違うって?」

 どうどうと優子が私を押しとどめる。話が進まないと先を促していた。

「あ、ああ。今回は原型を留めてるんだ」
「原、型……?」


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あきゅろす。
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