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オリジナルBL小説
逃げたい鼓動
息を切らして、その場から逃げた。
「やだ、あんなの・・・見たくなかったのに。」
あんな人だと思ってなかったのに、
吉岡さんを信用してた、だから一緒にいたし、
お金を返す為になんだってする覚悟だった。
でも彼は私が隣の部屋で寝ている事なんててんで気にしてないよう見えた。
それなのに、あの人を「綾さん」を抱いてた。
その時なんだか、悔しくてならなかった。
悔しい??
もう・・・。心がグシャグシャだ。

自分でも分からない、道を走った。
自分でも分からない気持ちに動かされて。
公園のベンチに座った。
廻りにはカップルだの、ホームレスがいて。
ホームレスと目があった時
自分をあんな風に逃げられたらと思った。
でも、結局・・・。
「何処へも行く場所なんてないじゃないか!!」

頭を抱え込んだ時雨が降って来て。
妙な人影が陽の傍にたかって来た。
突然!!腕を掴まれ立ち上がらざるえない力で引っ張られた。
「いたっ!!何を・・・」
「おおっ!!やっぱり、陽ちゃんじゃん。俺と一発抜かない??」
「えっ!!」
よく見ると、陽はすでに多数のごつい男に取り囲まれていた。
「あっ・・・。ヤダ!!」
逃げようとするも、掴まれた腕と、前のめりになった時前から押された衝撃で、陽は
公園の茂みに倒れこんだ。
「結構、誘ってんじゃないの??」
男どもが複数で覆いかぶさり陽の腕や足の自由を奪った。
「やぁ!!」
主犯格の男の顔には身覚えがあった・・・。バーで妙な視線をこちらに向けていた男だ。
その男の手が雨で濡れた陽のシャツの下から手を差し入れて赤くなった乳首を持て遊んでいた。
その時である。
男の悲鳴とともに、陽の手足が自由になった。
「帰るぞ。」
「吉岡さん??」
スーツがずぶ濡れになっている吉岡が陽に手を差し伸べていたのだ。
「嘘だ??」何故彼が??そう一瞬は思ったがすぐに理由は分かった。
私が逃げたら借金を回収できなくなる。


吉岡の車に黙って乗った。
自分の居場所は彼の元しかないと確信したからだ。

家に着くと、「さっさとシャワーを浴びて来い。」
そう言って脱水所に放り込まれた。
「何故怒られない。」
あの時本当は逃げる気だったのに、吉岡は何故私を殴らない。
吉岡の行動にとまどいながらも草やドロが付いたシャツや、ズボン、何もかもを脱いで
熱いシャワーを浴びた。

その時さっきの事を思い出して、体に妙な感覚が戻って来た。
「さっき、触られたとこ、気持ち悪い。」
そう思うと、ポロポロと涙が出て来た。
その涙の中には陽の分からない気持ちへの悲しみも入っているのだろうか??
壁に手を付き下を向いてシャワーを浴びていると
誰かが入って来た気配がしたので顔を上げると吉岡が全裸で立っていた。

「あっ・・・。」



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あきゅろす。
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