Silver Chain
9
「銀時っ!花音が生きていたとは、本当かっ?」
まぁ、ヅラの慌てようで、用件は解ってたがな。
「なんだぁ、高杉に会ったのかぁ?」
「そんな事を聞いているのではないっ!花音は「あぁ。生きてたみてぇだなあ。」
俺は、あえて気のない返事をした。
「会ったのかっ!?」
「いや…他に野暮用があったもんでなぁ…」
「おっ、お前っ!花音より野暮用を取っただと?」
俺だって、花音に会いたかったさ。
この五年、忘れたことなんか、ねぇんだからよ。
けどよ、目の前で沈みかけるヤツを、ほって置けねぇんだからよ…
「それが俺なんだから、しょーがねぇじゃない。」
「全く、お主は…
で、花音の居場所が真選組と聞いたのだが…」
「らしいなぁ。」
俺は、相変わらず、気のない返事をした。
「銀時っ!お主は、花音がすぐ側に居るとわかっておるのに、何故動こうとしないっ!」
「一度、門前払い喰らってんだよ。そう、何回も行けねぇじゃねぇか。
俺達と知り合いだってゆーのも、花音にとっちゃあ、知られたくねぇ事かもしれねぇじゃねえか。
なんせ、真選組に居てんだぜ?」
「…それは、確かに…」
ヅラの勢いが治まった。
俺はともかく、ヅラは確実に知られちゃいけねぇ間柄だからな。
「とりあえず、事の真相を確認したかっただけだ。邪魔したな。」
そう言って、ヅラは出て行った。
そういや、今日は、エリザベスが居ねぇな…
まっ、いいか。
俺は、ヅラに言いながらも、自分自身に言い聞かせていた。
会いたくてしょうがないのに、
花音の今の立場。
そして、何より、俺の事を覚えてくれているのだろうか…
今の俺を受け入れてくれるんだろうか…
あの頃のように、笑ってくれるんだろうか…
俺は、花音に拒否されるのが怖くて、
会いに行けないんだ…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!