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Silver Chain




「…以上が、今日の配置だ。各隊長の指示に従い、命に変えても将軍様を護れっ!」


土方の声と共に、各配置に散って行った隊員達。


あたしは、土方、近藤、沖田達と、将軍の座る櫓の下で護衛をすることになった。



…昨日の会議での、土方の発言。


―――高杉が江戸に潜伏 しているらしい―――



あたしは今、高杉とは敵の立場。


もし…


もし、この祭で高杉と出くわしたら、
あたしは、高杉に刃を向けることが出来るのだろうか…



「おいっ、花音、聞いてやすかい?」



沖田が、耳元で囁いた。


慌てて、沖田を見ると、


「トイレに行くフリして、抜けやすぜ。」


そう言うなり、あたしの手を取り、


「ちょっと、トイレに行ってきやす。」


すでに走り出していた。


『あっ、あのー…』


「後の事は、あの二人に任せておけば、大丈夫でさァ。
何かあっても、あの二人の責任ですしねィ」


黒い笑顔で、あたしの手を引っ張り、屋台の方へと向かって行く。


こいつは、本当に一番隊の隊長なのか?


…まぁ、いいか。
あそこに居るより、こっちの方が高杉に逢う確率が高い。


それに、一番逢いたいヤツにも近付けるかもしれないし…


とりあえず、沖田に合わせておけば、後々、言い訳も出来るしね。


ってゆーか、沖田どこ?


気が付けば、さっきまで掴まれていた腕には、沖田の手が無く、
屋台で人がごった返す中に、一人取り残されていた。





「グラサンいただき〜っ!」


「これは、俺がいただきやすぜィ。」




どこからともなく、聞こえた声。


気配と声に集中する。



―――見付けた。



そこには、十代前半の少女と共に、屋台の店主に射的の銃を向けている
沖田の姿があった。


あの人、ホントに遊んでる?


沖田から逸れたら、言い訳できなくなるじゃない。
とにかく、沖田の所まで行かなきゃ。



あたしは、楽しそうに、店主に弾を撃ち続けている二人の元へと向かおうとした。



―――その時



ドーンッ!



「カラクリが、暴走しだしたぞーっ!!」


「にっ、逃げろーっ!!」


余興で行われていた、平賀源外が作ったカラクリロボット達が、暴走し始めたのだ。


逃げ惑う人々――


マズイ!


狙いは、将軍様か?!


あたしは、一般人を安全な所へ誘導し、落ち着いたところで、将軍様の櫓へと走った。





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あきゅろす。
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