Silver Chain
2
「今日は、祭があるらしいな…」
俺は、変化をして、この世界の住民に成り済まし、街の中を散策している。
片目を隠す為に、眼帯をし、目立つ髪を網笠でごまかし、着流しに身を包む。
どうやら、刀を主に武器としているらしく、忍の気配は無い。
そして、一番驚いたのは、¨天人¨と呼ばれる、奇妙な生物が居る事だ。
見かけは、動物の様だが、言葉を話す。
しかも、この¨天人¨が人間を支配しているらしい。
まったく…
とんでもない世界に来ちゃったようダネ…
とりあえず、祭に出向いてみようか…
人の集まる所へ行けば、何か手掛かりを掴めるかもしれない。
生憎、俺は住民に同化していて、怪しまれている様子も無い。
―――ん?
今まで感じた事の無い気配がする。
殺気とは違う、なんとも言えない、威圧感。
そのクセに、人を安心させる様な暖かさ…
俺は、その気配の根源を探る。
前から歩いてくる男。
俺と同じ、銀色の髪。
俺を威圧する気配とは裏腹に、なんともけだるそうに歩いて来る、その姿。
気配と風貌に差がありすぎるじゃナイ…
俺は、気配を消し、その男とすれ違うのを待った。
男がチラリと、こちらを見た。
俺もチラリと見る。
目が合った瞬間
時が止まった―――
…気付かれたかっ!?
しかし、何事も無かったかの様に、男は俺の横を過ぎて行った。
ただ者じゃ〜ないネ。
危ない、危ない。
油断は禁物だ。
平和そうに見えるこの街にも、あんなヤツが居るということは、他にも、普通のナリして、牙を隠してるヤツが居るだろう。
って、今の俺がそうか…
俺は気を引き締め、祭に向かうであろう人の波に飲まれて、足を進めた。
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