Silver Chain
7
ふぅ〜っ…――
ようやく、落ち着いた。
兄貴が去った後、張り詰めていた気持ちが、
一気に解き放たれて、
木の根元に座り込んだ。
幹に体を預け、今日の出来事を、思い出していた。
…なんだか、濃い一日だったなぁ…
あたしが、こんなに
感情剥き出しに
なりふり構わず行動するなんて
いつ以来?
兄貴と口を利いたのは
いつ以来?
あんなにも、取り乱した兄貴を見たのは
いつ以来?
兄貴の、笑顔を見たのは
いつ以来?
…ふふっ
兄貴だけじゃないや。
あたしも、変だ……
見上げると
――綺麗な満月
大きくて
銀色に輝いていて
手を伸ばせば
触れられそうなのに
届かない
……まるで
兄貴のようだね…――
あたしは、兄貴に触れようと
手を伸ばした
その時
月が更に輝きを増し
伸ばした手が
吸い込まれるような感覚に
陥った…――
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