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Silver Chain





『土方さん…』




「どうやら、只の知り合いって訳じゃねーみてーだな」




煙草をふかし、あたしの方へ目線を向けた。




この人の洞察力は、獣並みだ。

ここで、下手に嘘をつくのは、逆効果だろう。



さらに、詮索されるに違いない。




『昔…傷を負って倒れていたところを、助けてもらいました。』




嘘じゃない。




心に傷を負ったあたしを、銀時は救ってくれた。




「ほぉ〜。じゃ、ヤローは命の恩人って訳だ。
…と、すりゃあ、涙のご対面ってのが、お決まりのパターンじゃねーのか?」




冗談混じりで言ってるけど目が笑ってない。



何を探ろうとしてる?




あの口振りじゃ、土方も、只の顔見知り程度じゃないだろう。



木刀差してるのに、攘夷として見ていないようだし…


もしかして、銀時の過去?



腹の探り合いで、あたしはこの人に勝てるだろうか?



声を掛けることが出来なかった、あたし。



逃げるように去っていった銀時。




どう見たって、怪しい…




どうやって、誤魔化したらいい?




あたしは、下を向いたまま答えることが出来なかった



「まっ、おめーらに何があったがは、知らねーが…





そう言って、空を仰ぎながら、煙草をふかす。



あれっ?


何か、勘違いしてる?



否定しようと思ったけど、そーゆー事にしておいた方が、何かと都合がいいんじゃない?




きっと、土方の事だから、男と女の関係だった――
って事にしておいたら、これ以上何も聞いてこないだろう。




『…何も…ないです…よ』



あたしは、意味ありげに、曖昧に答えた。




「そうか…」




案の定、土方はそれ以上、聞いてはこなかった。



「おめーも、つれーだろうが、真選組に居る以上は、この町を護ってもらわなきゃならねー。
まっ、ある程度の便宜は図ってやってもいいがな。」



優しい笑みを残して、土方は立ち去っていった。




初めて見せた、副長ではない顔の土方に、驚きながらも




胸の奧が、チクッとしたような気がした。







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