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〜輪廻〜



あら起こしてしまった?
ごめんなさいね、眠ることはこの世界では一番の退屈しのぎなのに。

……え?なに?
手に持っているのは何かって?

これはただのカケラよ、1つではなんの意味もないくらい小さなカケラ。
いわば、カケラの破片みたいなものね、でも何で私がそれを持ってるかは分かる?一つじゃ何の意味も無いわけだし。

くすくすくす、当たり、やっぱりあなたには簡単過ぎたかしらね。
あなたの言うとおり、私の下に沢山散らばってる破片と手に持ってる破片を合わせると、ある一つのカケラが出来上がるの、どんなカケラが出来るのかは秘密にしておこうと思っていたのだけど
そうね、でもせっかくだから当てたご褒美に全部教えることにする。本当はもっともっと謎かけして楽しみたいところだけど、今はこのカケラを組み上げることの方が楽しいから特別にね。
この破片はすべて、さっきも言った通り、もともと1つのカケラだったの、ほら鬼隠し編のカケラとか皆殺し編のカケラとかあるじゃない、それと同じような大きなカケラ。
それが、どうして粉々になったのか気になる?
それはね、梨花が百年もの長い旅を続けるうちに時間の波に洗われて、少しずつ砕けていっていったのよ。
ちょうど川の岸が長い時間かけて水に削られていくように、ゆっくりゆっくりとね。
だから、今ではこの大きさの破片すらもほとんど残ってなくて、これだけ集めるのは本当に苦労したわ。それで、集めた破片の量があんまりに多いから持てない分を下に置いたというわけ。
でも、そのことから考えると、この破片の中に別のカケラの破片が混ざってることも十分に考えられる、何しろ古いカケラだし量も多いしね、だから、厳密には本物と同じカケラにはならないかもしれない。
まあ私としてはそれでもいいのだけど、見るか見ないかは好きにしていいわ。
せっかく作ったのだし、出来れば見てほしくはあるけど、嫌なものを無理に勧める気はしないもの。あなたの意志に委ねることにする。

え?それで、何のカケラかって?
ごめんなさい、肝心なことを言ってなかったわね。
これはね、梨花が初めて死を迎えて、二度目の袋小路に閉じ込められたときのカケラ。
一応私は鏡崩し編のカケラと名付けているわ。
まだ運命に右往左往してる頃の梨花の世界、百年の旅路を生きる梨花にはない、戸惑いや希望を持っている頃の梨花のカケラ。
そうそう興味深いのは、1度目の死の際羽入が梨花に何も聞かずに生き返らせたみたいで、羽入もだいぶ悩んでいるようなの、珍しいと思わない?
梨花はあんまり気にしてないようだけど、梨花の許可あるなしは羽入の悩みの一部にすぎないから、悩みは解消されないようね。
でも許可もなく生き返らせた羽入の気持ちもわからないでもない、急に親しい人が亡くなれば誰だって平静ではいられないもの、やっぱり神様でも同じなのかしらね。
それでどう?少しは興味でてきた?

え?あんまり興味でないって?くすくすくす、見るか見ないかはあなたの自由だもの好きにするといいわ。
じゃあそろそろカケラも組み上がったから、私は見に行くことにするわね。あなたも見たくなったらいつでも見にきて、幸い迷う時間は沢山あるのだし………























鏡崩し編のカケラに行く














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あきゅろす。
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