イケメン♂パラダイス
大型新人
春休みが終わり、新学期がスタート。
新入生も続々と入部した。
島「揃ったようだな。左のお前から自己紹介、頼むな」
船越「はいっ!崖上中からきました船越英一郎です!」
豪「船越……?聞いたことあるな…」
烈「あ!全中で準優勝したあの崖中のピッチャー…船越ってお前か!」
ざわつく部員たち。
「まじか…あの船越が本学に…」
「こりゃ英二もうかうかしてらんないな…」
船越「生意気なようですけど、もちろんスタメン狙わせてもらいます!よろしくお願いします!」
島「ははっ、頼もしいな!英二も負けてられないな!」
英二「(ムッ…)」
全ての新入生の自己紹介が終わり、練習に移った。
船越は早速マウンドに上がり投球練習をしようとしている。
船越「すみません!誰か捕ってもらえませんか?」
英二「なに?!」
一同『!!!』
一瞬グラウンドに緊張が走った。
新入生が、初めての練習でマウンドに上がり、キャッチャーを要求している。
こんな前代未聞のことに驚かない部員は誰一人いなかった。
豪「な、何いってんだよあいつ…全中だかなんだか知らねぇけどちょっと調子乗りすぎじゃねぇか?」
気まずい空気の中、掛布が名乗りを上げた。
掛布「おしっ!俺が捕ってやろう!いいですよね島さん?」
島はしぶしぶ了承した。
部員たちの気持ちや今までの慣習を考えれば言語道断で、普通はやめさせるべきだったが、船越の球が見てみたい…そんな好奇心が勝った形となった。
グラウンド中の視線がマウンド上の船越に注がれる。
船越「ふぅ………」
大きく深呼吸をする船越。
一見非常識に見えるこの振る舞い、ある考えがあってのことだった。
掛布「こいっ!!」
大きく振りかぶる。
手本通りの綺麗なフォームから球が放たれる。
島「ゴクッ…」
シュッ
ギュィーーーーーーーーーーーン
バシィイッ!!!!
沈黙が流れる。
掛布「すげぇ…すげぇ!!」
船越は明らかにみんなの自分を見る目が変わったのを認識した。
船越の考え…最初に自分の実力を見せつければ、これからの練習がしやすくなるだろう。
成功だった。
沸き立つグラウンドの隅、
英二「ちっ………」
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