小さな頃から（↑で読めない方用）
12
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「佑樹っ。」
行為の後……呆然として声も出せずにいた亮だけれど、バタンと閉められたドアの音にようやく正気を取り戻すと、慌ててベッドから立ち上がった。
―――早く、追い掛けないと……。
そう思って手早くジーンズのホックを留めた亮だったが、部屋を出ようとドアノブに手を掛けた所で、先程の佑樹の痴態を思い出し体が動かなくなってしまう。
―――追い掛けて……どうする？
『忘れて』と言いながら立ち去った佑樹を今追い掛けて、自分に何が出来るんだろう？
「……どうしたらいいんだ？」
突然の出来事に頭の中がグチャグチャになってしまい……自分がどうしてあんな事をしてしまったのかが、今の亮には分からない。
気付いたら佑樹の唇にキスをして、気付いたら彼を押し倒して夢中でその体へと自身を打ち付けていた。
『……すき……りょう……すき……。』
佑樹の言葉が頭の中でリフレインする。
激しく揺さ振られながら虚ろな瞳でこちらを見詰め、途切れ途切れに紡がれたその言葉が、亮の心を強く締め付ける。
「最低……だよな。」
零れた言葉が虚しく空気に溶けてゆく。
懸命に好きだと告げて来た佑樹の気持ちに応える覚悟も無い癖に、突き放す事も出来なかった。
いくら混乱していたとはいえ、自分を見失ってしまうなんて本当に……最低だ。
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