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【 人間万事塞翁が馬 】
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〜side K.A.〜


散々だった。

今日は氷帝学園中学校の入学式。
例年通りのつまらない式だ。体裁重視のお偉いさん方の接待の一環でしかないこの行事。

生徒会長である俺様が数ヶ月前から準備し、今日に至るまで指揮を執り、
一切のミス、失敗、トラブルなどが起こらないように気をく配ってというのに。

新入生は貧血で倒れるわ、別の新入生がそいつを抱えて勝手に式場を出ていくわ、新入生代表はいないわ。

本当に散々だった。

ざわつく生徒たち、保護者、慌てふためく来賓の親父たち。
騒ぎを鎮めようにもオロオロするばかりで役に立たない教師ども。

新入生代表の挨拶を飛ばして俺様が段上に上がったから収まりはしたものの。
まあ元々在校生を代表して挨拶する予定だったからな、舞台袖で控えていたからこそできたことだ。

役に立たない奴らばかりだ、なんとか式が終了したので、まあ終わった後の片付けぐらいは自分たちで勝手にやれとばかりに俺は他の生徒たちに混ざって教室へと向かっていた。

「お!なあ跡部、アレなんやと思う?」

大講堂を出て渡り廊下に差し掛かった時に忍足が言った。
・・・いつの間に横にいたんだこいつは。いくら同じクラスになったとはいえ。

「アーン?」

そう返せばほら、アレや、と言いながら流れる人混みを掻き分けてそのまま裏庭の方へと進んでいった。

仕方なく忍足の後に続く。

「やっぱり、なんか落ちとると思ったら」

そう言って忍足が拾い上げたのは一枚の紙切れ。

「・・・お前、よくそんなもんが見えたな」

あの人混みの中、そんなもん普通は見えねーだろうよ。

「いやーええ足の子がおるなあと思って見てたら、たまたま見えたんよ、ってそうじゃなくて!」

・・・やはりコイツと付き合うのは考えなおすべきかもしれないな。

「見てみ、コレ。どういうことやと思う?」

差し出された紙を受け取る。

「『眠り姫はこちらに』?」

受け取った紙にはそれしか書かれていなかった。

「眠り姫って何のことやろなあ?宝探しとか?なんかの隠語とかやろか?」

「宝探しって・・・んなわけねーだろーよ」

「ほんなら何、って。そーいえば。」

「アーン?」

「さっきがっくんがジローが式に出とらへんかったって」

「・・・・・・」

思わず手に力が入ってしまい、ぐしゃりとあっけなく手の中の紙がひしゃげてしまった。

「と、とりあえず行ってみよか・・・?」

忍足の顔色が一瞬青ざめて見えた。


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あきゅろす。
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