01
「うーん…ピンク、でも黒も良いかなぁ?」
中学へ上がるタイミングで芳野家はマイホームへ引っ越した。
父の忠志は二人の娘に部屋を作り、それぞれに好きな家具を選ばせた。
「私は全部白が良い。」
「日奈…他にも可愛い色が沢山あるぞ。」
「白。真っ白。全部白が良いの。」
一つ一つの家具に拘る佐奈とは違い、日奈は白だけに拘った。
そして完成した部屋はどこもかしこも真っ白で、どこか殺風景な空間だった。
「白が好き。」
満足そうに笑って、日奈は真新しいシーツの上に横たわった。
日奈は思う。
どこを見ても白。
なんて愛おしいのだろう。
まるで愛に包まれたような気分になって、気持ちが高ぶる。
自然と涙が出た。
「愛してる。」
日奈は笑い、シーツに顔を埋めた。
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