#11
「加持ぃー…ってうわっ…もしかして俺らお邪魔でしたぁ?って感じー?」
「………別に。」
シリアスモードから一変。
なんの前触れもなく現れた嘉藤に、肩の力が抜ける。
加持は作間から身を離し、最後に頭を一撫でした。
「にしても授業サボって密会…しかも抱擁だなんて…2人ともお熱いねぇ〜」
「るせぇ、」
ヒューヒューなんて茶化してくる嘉藤に、加持の機嫌が一気に悪くなる。
対して嘉藤は機嫌が悪くなった加持を理解しながら、更にニヤニヤとそれを煽った。
「チッ…それでお前の後ろに居んの、誰?」
「えー…、あぁ、忘れてた。」
嘉藤はゴメンねぇーなんて呑気に謝っているが、何とも酷い扱いだ。
先程嘉藤が"俺ら"は邪魔だったかと聞いてきた事と、微かに嘉藤の背後に見え隠れする姿に加持は気付いていた。
嘉藤が人を連れてくるなんて珍しい。
だからこそ加持は、その人物に多少の興味を抱いていた。
「紹介しま〜す!松戸一夜くん!名付けてイッチーでぇす!」
「ちょ…嘉藤くんっ…」
嘉藤に背中を押され、加持と作間の目の前に現れたのは松戸一夜と言う生徒だった。
一度も染めた事のなさそうな黒髪は長く、特に前髪は長すぎて顔が隠れている。
その前髪の下には更に眼鏡を掛けているようで、顔の殆どが隠れていた。
陰気臭いその姿は、余りにも酷い。
「どぉ〜?」
「どうって……」
嘉藤に聞かれたが、答える事は出来なかった。
それは作間も同じようで、二人してポカンと口を開けている。
それほど目の前の生徒が与えた衝撃は、なかなかのモノだった。
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