#09
その日、加持は授業をサボっていた。
場所はお決まりの屋上。
ポカポカと暖かい太陽の下、襲ってくる眠気に勝てず、とうとう目蓋を閉じた。
学校の屋上という事も関係してか、加持の眠りは浅かった。
そんなおぼろげな意識の中、加持は変な感覚に襲われていた。
── 暖かい
太陽の暖かさとは違う、特別な暖かさ
凄くホッとするような…
でも切ないような感じもする
どうか消えないで欲しい
この温もりを手放したくない
ずっと、ずっとここに
隣に居て欲しい
ふと、加持の目蓋に柔らかい何かが触れた。
たった一瞬の、それは夢のような出来事で…。
── どうか消えないでくれ
お願いだから
ずっと俺の隣に…
俺は
俺は×××が好きだ
ーーーーーーーーー
「…加持君おはよ?」
「…作間、」
目覚めると作間がそこに居た。
浅い眠りの中感じたあの感覚は、意識のはっきりした今でも残っている。
加持は今にも涙が出そうな両目を手で覆った。
目頭が熱い。
それは内側からくる熱でもあり、浅い眠りで感じた…
あの柔らかい何かがもたらしたモノなのか…
熱い、こんなにも熱いのに、嫌な熱さでは無かった。
「ずっと…ここに居たのか?」
「うん!もぅ、加持君ってば教室に居ないんだもん!結構探したんだよ?」
「あぁ、わりぃ…」
謝りながら、のそっと起き上がる。
少し拗ねた様な作間が可愛くて、頭を撫でてやった。
「っ…ずるいよっ…」
「何が?」
「…むぅ、」
顔を真っ赤にし、更に拗ねたようにほっぺを膨らませる作間。
その姿に加持はアハハと表情を緩ませた。
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