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真心文庫
身体測定!! 男子編
漆黒の間 


中に連れてこられたとたん、ドアが勢いよく閉められた。見ると、Dr.HISORAが笑顔でドアに
重たい物をおいて、出られないようにしていた。そう、笑顔で。

「せ、先生・・・何を?」

会長が訊くと、Dr.HISORAはニヤニヤ笑いながら椅子に座った。

「えー、だって出ないと君たち逃げちゃうでしょ?それはわたし困るから^^」

それを聞いた会長はなんとなく危険を感じた。だが、学園の恒例行事のため
生徒会長の自分がしないわけにはいかない。
まあ、あとでそのこと自体後悔することになるわけだが。
Dr.HISORAは、椅子に座ったまま周りの男子を見渡した後、笑顔で言った。


「じゃあ、脱ぎなさい♪」


「いきなりかよ。おい。」

爽は突然のことに思わずツッコんだ。
そして常識的なことを訊いた。

「まず何測んのか、教えてくれ;」

「んー、あんなとこやこんなとこ?むふふふふ^p^」

Dr.HISORAは笑顔でそう言うと、爽の横にいる明雄を指差した。

「はい、じゃあそこの子からおいで?」

はっきり言ってキモい。いや、はっきりいわなくても言い方といい、全てキモい。
明雄は嫌々ながらも仕方なさそうに歩いていこうとする。
この空気の中さすがに眠気もないのか、爽は明雄の腕を掴み止めた。

「何されっかわっかんねーぞ?」

「まあ、下手な事されたらぶん殴るから大丈夫だろ。・・・たぶん。」

「・・・・まあ、危険感じたら逃げればいいか。」

爽はそう言って苦笑いを浮かべると明雄を放した。
その様子を見ていたDr.HISORAはニヤケ面を浮かべながら立ち上がった。

「じゃあ、ひとまず身長、座高測らないと怒られるから乗っていって?お楽しみはその後よ?くふふふふふ」

「きめぇんだよあんた・・・」

「うん。知ってる。」

開き直るDr.HISORAは、明雄の身長と座高を測らせ、書き留めるとメジャーを出した。
そして明雄ににじり寄ってきた後、笑顔で言う。

「じゃあ脱いでもらいましょうか?」

「あんた、自己満足で脱がせてんじゃねぇよな?」

「さあ、どうでしょうね?脱がないなら脱がせますよ?」

「っ・・・脱げばいいんだろ・・・」

明雄は脱がされてはたまらないと、しぶしぶ制服の上を脱ぎ、机の上に置いた。
ちなみに、さっきからDr.HISORAはずっと満面の笑みだ。
キモい、キモすぎる・・・・。

「あ〜ら〜、イイ身体してるじゃないのー♪じゃあ早速測っちゃいますよー♪」

「とっとと終わらせろ変態!!」

「そういうキツイこと言う子わたし大好きよ?」

「黙れ!!!」

Dr.HISORAはイヤラシイ手つきで測ったが、とくに犯罪に値することまでは、やらず
測り終わった後満足そうに明雄を解放した。明雄は終わったとたんすぐにDr.HISORAから離れ、睨みつけた。

「ごちそうさまでした♪」

「うっせえ!とっとと帰れ!!」

Dr.HISORAはそんな明雄も、かわいいといいたげにニヤニヤしながら机の上にあった服を猛スピードで隠した
明雄はイライラと羞恥心で服のことまで頭が回らないらしく、気がつけなかった。
そんな手の動きを見ていた瀬南がきつい視線をDr.HISORAに刺しながら言った。

「・・・服盗むとか、コンクリートに塗り固められた体でサザナミ湾に飛び込んでしまえ」

その言葉で、服を盗られたことに気がついた明雄はDr.HISORAに向かって怒鳴った

「返せ!!この変態野郎!!」

「んー。じゃあ、終わった後にみんなまとめて返すよ。」

「今返せっ!!さみぃんだよ!!」

「あーはいはい、じゃあ次君ね」

Dr.HISORAは明雄の言葉をスルーし、今度はその横にいる爽を指した。もちろん笑顔で。
爽は目を瞑って何か考えてるのか寝てるのか分からないが、とりあえずしばらく目を瞑っていた。
そして目を開け、あくびをする。どうやら考え事はしていたが同時に眠ってもいたらしい。
爽はDr.HISORAに自分の服を取られない方法を考え付いたらしく、素直に従った。
身長と座高を測り終え、次に問題の採寸だ。

「さあ、お姉さんに脱ぎたてホヤホヤの服をちょーだい?ふふふふん♪」

爽はそれを聞くと「やはりこいつはド変態だ」と再認識し、渋々上の服を脱ぎ、明雄にパスした。

「さみぃなら俺が終わるまでそれ着てていいぞ。終わったら返してもらうがな。」

「あ、悪いな、さんきゅ」

明雄は寒さは我慢できないらしく、言葉に甘えて爽の服を羽織った。
そんな様子さえ、ご馳走だと言いたげな視線で見るDr.HISORA。
爽は嫌々ながらも自分で測るのも面倒なため、仕方なくDr.HISORAに測ってもらった。

「あっらやだー、ほんとイイ体ねー♪オモチカエリしたいわ、お姉さん♪ぐふふふふ」

「そりゃどーも、ド変態なヤブ医者が。」

「ふふふ、変態とかマジでほめ言葉よ♪」

Dr.HISORAは、ウエストらへんを測るのに時間をかけていたが(つまり腰に興奮していた)
ちゃんと最後には開放してあげた。
爽はいくら仕方が無いとは言え、時間をかけられ、顔が青かった。
そして終わると即効でDr.HISORAから離れ、明雄に服を返してもらう。

「・・・災難だったな。爽。俺もなんか上らへん測るときに時間かけられた」

「・・・言うな。何も言うな。聞きたくない。だから言うな・・・」

二人ともかわいそうだ。ああ、本当にかわいそうだ。
そして、次の犠牲者を指名するDr.HISORA。
指したのは、ずっと不機嫌状態の瀬南だ。

「じゃあ、そこのかっこいい子お姉さんのもとにはやく♪」

「・・・黙れ。お前なんて原子レベルに崩壊すればいい・・・」

「口悪い子お姉さんだいっすき♪」

瀬南はさすがに頭にきたらしく、回し蹴りをDr.HISORAに喰らわせようとする。
だが、ギリギリのところでDr.HISORAは、そばにあった身長測定機を盾にした。
全力で蹴りだしたため、足をとめることが出来ず、思いっきり鉄にぶつかった。
これは痛い。痛すぎる。
瀬南は足をかばいながら、少し呻いた。

「ぐっ・・・」

「あらあらー、痛いならお姉さんが介抱してあげるよ?くくふふ」

「っ・・・だまれ・・・っ!」

瀬南は、とっとと終わらせようと測って、測ったあと、自分で測るためにメジャーを奪い取ろうとする。
だが、さっきの脚へのダメージで体が思うように動かない。
そんな瀬南をみて「チャンス♪」と思ったDr.HISORAは動けない瀬南の服を脱がそうとする。

「・・・やめろ、この・・・っ」

「怪我人はおとなしくお姉さんのされるがままになってなさい?わたしはお医者さんよ?ふふふふっん」

「・・・っ!!やめ・・・」

正直見ていられない。可哀想だ、すごくすごく。
そんな瀬南を見かねた爽が隙をついてDr.HISORAからメジャーを奪い取った。

「見てられねぇな。俺と明雄で測ってやるよ。正直、マジで見てられねぇ・・・」

爽はさっきのことを思い出したように苦笑いしながら、視線を逸らし、青ざめていた。
Dr.HISORAは、年甲斐も無く頬を膨らませたが、すねた声で言った。

「まあいいや、きゃわいい男の子たちがきゃいきゃいしてるのを観るのも目の補給になるしー」

ああ・・・なんてキモい女なのだろうか・・・。
明雄は、そんな姿さえもう見たくもないと言うように、瀬南のほうを見た。
瀬南は、悔しいのと恥ずかしすぎて顔が赤い。

「・・・屈辱だ・・・忘れたい・・・」

「ああ、忘れたい。終わったら忘れよう。あとで何か派手なことして忘れよう・・・丁度花火持ってるし。」

「俺もいいか?・・・こんなこと花火みてぇに消しちまいたい・・・」

明雄と爽は瀬南の採寸をしながら小声で話し合う。
そして3人は生徒会組のほうを少し見てから、小さくため息をついた。

測り終えた結果をDr.HISORAに口答で伝えると、にやけ始める。

「ふむふむ、16にしてはおいしい体つきねー 是非堪能したかったわー」

「・・・・・・・・・・」

さっきまであんなに威勢が良かった瀬南も何もいえないでいる。
そして、間の端に行ってDr.HISORAに背を向けて黙って立っている。

これで炎精組は終わった。そして次は生徒会。

だが、さっきまでスーパーご機嫌モードだったDr.HISORAだが、銀をみると
興味なさそうな顔になり、棒読みで言う。

「ああ・・・、銀君はテキトーに測って教えてくれればそれでいいから」

「はい、わかりました!」

一人、地獄から免れた銀はご機嫌な様子で測定数値を言うと、さっさと服を着た。

「ごくろーさまでした!先生!」

「あ、うん。おつかれ。もう帰ってもいいよ?」

「じゃあ最後まで成り行きを見てます!あはは」

銀はそう言うと、Dr.HISORAの椅子を奪い、自分の近くに持ってきた後我が物顔で座った。
そんな銀を見て、明雄が悔しそうに言う

「なんでテメェはそんなに早いんだよ・・・」

「え?それはまあ、僕がラッキーボーイだからだね」

「・・・もう・・・いいや・・・」

爽は色々言いたかったのだろうが、全てを諦め目を瞑った。
そんな姿を見た後、さっきのテンションの下がりようはなんだったのかと言いたくなるほど
明るく、嬉しそうな顔になり、ついにあの人が呼ばれてしまった。

「はーい、会長くんお・い・で♪」

腕を広げるDr.HISORAに、もう先ほどからずっと黙り続けている会長はぼーっとしながら歩いて来た。
そんな会長の背後でαが恐ろしいオーラを纏いながらDr.HISORAを睨みつけている。
ちなみに、本人は視線には全く気がつかず、会長のことばかり見ている。
そして、会長の綺麗な顔をもっと見たいといわんばかりに頬に手を当てた。

「ちょー美形ねぇ、会長くーん♪全国のお姉さん黙ってられないよー?」

「・・・・先生、早く終わらせてくれませんか?」

「うん、身長と座高は高速で終わらせたげる。でも採寸はちょーーーーっとお時間かかりますわよ?うふふふふ」

会長は、身長、座高と順調に測った後、ついに魔の採寸タイムに突入してしまった。

「ねえ、会長君?先生、会長君のお服脱がせてあげたいな♪」

さっきまで、意味の分からないことの連続で魂が半分どこかに行きかけていた会長だったが、
それを聞いて、顔を真っ赤にする。

「なっ!!結構です!!」

「えんりょはダメよ〜?さあ、先生のいうことききなさーい?ぐふふふふふ♪」

「いや、本当やめてくださ、ッ・・・!!」

抵抗しようとした会長だったが、時は既に遅し。
Dr.HISORAの手は既に会長の制服のボタンに伸びていた。

「や、やめ・・・」

「はいはーい、大人しくしてないとヒドイことしちゃうかもよ?」

それよりも先にDr.HISORAがαに酷いことにされそうな展開だが
当のαはこの身体測定の前に会長に、手を出さないようにきつーく釘を刺されているので、何も出来ずにいた。
もちろん、本音はDr.HISORAをおなかの中に納めてでも助けたいのだろうが。

そんなこんなをしているうちに、会長の上の服は既にDr.HISORAにわたってしまっていた。
抵抗したにもかかわらず、だ。会長はもう何も考えられないといった感じで、顔を赤くさせながら視線を逸らしている。

「・・・先生・・・僕・・・」

「うん。わかってる。はやく先生にイロイロ触れてほしいんだよね?うん。大丈夫。分かってるから」

「会長さん、真面目になんか言わないと取り返しつかねーぞ?」

爽はそんな会長を見かねて同情の視線を送りながら言った。

「すまない・・・僕にも・・・なにがなんだか・・・」

「うん。大丈夫。なにもわからなくしてあげる。」

Dr.HISORAは爽の言葉も聞いてないフリをして、メジャーを放り投げた。
そして、親指と人差し指を広げ、笑顔で言った。

「この長さは多分10センチぐらいだからこれで測るね。うん。大丈夫。これで採寸可能だから。」

なにも大丈夫な気がしないが、構わずDr.HISORAは会長の胸囲を測るため、指を会長の肌に触れさせた。

「っ!!!」

「あーごめんね、銀君のときに もってきた氷ずっとさわってたから手冷たすぎると思う。うん。もちろんわざとよ。」

「やめ、つめた・・・」

「はい、はい。測るからねーちょっとまっててねー」

ちょっとといいつつ、会長の肌を堪能するようにゆっくりゆっくり指を這わせる。
会長が、もう冷たさに耐え切らなくなりそうなとき、向かい側の女子が測定しているはずの純白の間から
大きな声が聞こえた。これは多分、ユウの声だ。
陽月の測定をしているらしく、見た目より結構あるだの、15にしては体つきが大人だの、スタイル抜群だの、
一緒にいれる男は幸せ者だのという声が聞こえる。
さらにはくすぐりが弱いという言葉もあり、次に陽月が慌てる声が聞こえた。

その声を聞いた会長の意識はそっちに向けられ、少し頭の中で何かが切れた音がした。

「・・・陽月に手を出すのなら医者だろうと容赦はしない・・・」

だが、一緒にいれる男は幸せだのときき、恥ずかしいようななんというかで自分でも感情の整理が付けられていない。

まあ、それ以前に自分が手を出されているわけだが。
だが、声のお陰で、Dr.HISORAが腰などをサワサワしているのに気がつかなかったのである意味結果オーライかもしれない。
まあ、なにもオーライではない内容には違いないが。

「はー堪能したあ♪じゃあ、最後の色男ね?
もう、あなたは身長とかどうでもいいわ。はやくそのマント脱いでお姉さんに肌を見せて?」

なんにもしらないDr.HISORAは普段の調子で、αに言ってしまった。
言わなかったほうが色々とよかったかもしれないが、言ってしまった。
αの体が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だと知らずに。

αは会長に手を出した目の前の医者の脳髄を破壊したい衝動に駆られていたが、何とか堪えDr.HISORAの前に立った。

そしてそれに気づいた会長が慌てて叫んだ。

「やめたまえ!!αの体は普通の人間が見られるものではない!!!」

「超レアな高級品ってわけね。大丈夫、お医者さんはこういうの強いのよ」

「あなたのためを思っていっている!!!αからマントを取るな!!!」

必死に叫ぶ会長だが、意味を理解していなかったDr.HISORAは


爆弾を押してしまった。


マントが間の床に落ちた。

会長は言葉を失って、壁のほうに顔を向けた。

銀は、見てはいけないものを見てしまい、なにがなんだかわからず、思わず嫉妬していた。


そして爆弾を押した本人はと言うと



倒れた。



それほどαの体は殺人兵器だったのだ。


勿論違う意味でも。


医者が倒れたため、αは制服の上を着なおし、マントを羽織った。




そんなこんなで男子の身体測定は終了した。



その日の夜、炎精組男子は女子も含めて絆と爽が持ってきていた花火をし、この日を忘れようとした。

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