年上の吸血鬼
2
「美羽(みはね)さん!?」
「久しぶり、美桜」
美羽さんはあどけないような笑顔で笑った。そしてひょいと視線を私からずらし、
「誰だそいつ?」
小学生では頑張っても出ないような超低音じみた声音を発した。
「この人は世にいうストーカーというものです」
「ほぉ…お前名前は?」
「!」
突然話をふられたのかヴィジュアルな青年は目を丸くしていた。
だが少し間を置いて、独り言を言うかのように呟いた。
「…上村 義一」
「義一とやら、お前はまだ若い。未来もある。俺はストーカーを止めはしないが、ストーカーをする相手を選んだほうが良いと思うぞ。趣味が悪すぎだ」
「…ストーカーじゃないんだけど」
「何っ……被害妄想か。美桜良い精神科なら私は知っているぞ。悪いことは言わない見てもらえ。薺のことで疲れているのだろう。一度で良いからカウンセリングへ行った方がいい」
「失礼にも程があります。…まぁストーカーってゆうのは冗談ですが、大まかに説明すると彼は私の血液が欲しいそうです。」
青年を見てニコリと微笑んでやった。
すると美羽さんが無言で青年を品定めするかのように見つめた。
しばらく、無声の時が流れた。
青年は耐えきれなかったのかゆっくりと口を開いた。
「俺は薺が何でこの女に惚れ込んでいるのか気になっただけだ。そのために血液を採取して成分を調べたかった‥ので、本人と接触した」
悪いことなどではないというような顔。
まあ、吸血鬼ですから血を頂戴するのは当たり前か。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!