世界の平和は甘い物を食べる事から始まるのだ
できることなら今すぐに
「へーっ！お風呂広い！」
「すげェや」
「露天風呂か…」
俺達が馬鹿でかい露天風呂に驚いていると､後ろから声が聞こえた
「こちらタオルとお着替えにございます｡」
「あ…りがとうございます｡」
危ない危ない､バレるかと思った｡
今回の事はとっつぁんにも言ってねぇからな､つか言えないか…
いろいろ考えていると､総悟がタオルと着物を指差してベテラン女中に訪ねた
「…どうして3枚あるのですかｨ？」
「姫様のお背中をお流しし､護衛も兼ねてご一緒に風呂に入り見張っていて頂きたいので｡」
「｢………も､もう一回｣」
さすがの俺ももう一度聞き返してしまう｡聞き間違いじゃなければ一緒に風呂とかなんとか…
「ご一緒にお風呂に入らせて頂きなさい｡」
おいー!!!やっぱりか!!これはちょっとまずくないか!?いや､完璧にまずい状況だ!!!
チラッと横目に総悟と華を見ると､2人とも口を開けてあたふたしていた｡
…まぁこれはな｡
そしてではと言い女中は帰って行った｡
『……あの､えと』
「…どうしやしょう｡華がいいなら俺は全然」
「何言ってんだよ」
だがガラスの外から女中が覗いていて風呂に入らない訳にも行かなかった｡あぁ､ガラスの外で会話は聞こえないから心配はない｡
とりあえず､華は風呂に入り､俺たち2人は着物のまま風呂に行くことにした｡
脱衣所から露天風呂の場所は見えない様になっているからそこで脱いで風呂に入ればいいだろう｡
「じゃ､俺達先に」
『あ､あの！手錠外せないんですがどうしましょう｡』
「…あ」
そういえば｡さっき将軍様が来た時､鎖は取っていたが､手錠はつけられたままだったんだ
すると華が俺と総悟を見た
『………ぬ､脱がせて…？///』
「｢((なァァァーーー!!///))｣」
ちょ､それはまずいだろう!!!いくらなんでもそれは…
ためらっていると隣から声がした｡
「…わかりやした」
「お前…！」
『…〜〜〜やっぱりダメ!!!//えっと､目隠しとか？』
華がそう言うと総悟は､あぁと言っていつものアイマスクを着けた
「これでいいですかィ」
『う､うん…トシさんも！』
「わかってる､タオルでいいだろ？」
『………じゃあ､お願いします』
そしてすっと紐を解く音が聞こえた｡
あー､なんでこんなことになってんだろうか｡
『んっ…外れない？…わ！さっ触らないでよ!!//』
「見えないんだからしょうがねぇだろィ」
『うぅ…///』
「あれ､こっから先無理みたいですぜ」
『あー､多分破っちゃっていいと思う』
「じゃあ行くぜィ？」
そう言って総悟が着物を破ったらしい｡
それにしてもなんか変な気分だな…はぁ
いや、別にやらしい事を考えてたわけじゃねぇが。
そして華はタオルを巻いて風呂へ入って行った｡
…とりあえず一段落か｡
「そ……！」
「？」
「いや､何でもねぇ」
「……姉上に見えましたかィ？」
「な！」
「今のアンタは昔のアンタみてェでもっと気に入らねえやィ」
そのまま総悟は風呂場へ入って行った｡向こうで着替えて中に入るのだろう
………昔の俺､か｡
「入るぞー」
そして俺も風呂場に入った｡
*****
もう恥を捨てるしかない｡
私はそう思って､沖田くんに脱がせて貰ったんだけど…もうなんかまともに顔見れない｡
「コレ取っていいですかィ？」
『え!?うーん､まあ…』
ずっと着けてるのも危ないしね､これはどうしようもない｡
トシさんも入ってきて､タオルをとった(下じゃないよ!?目隠ししてた方のだよ!?)
それから髪を洗って貰って､体は出来る限り自分で洗った｡傷に石鹸が染みて､少し痛かった｡
そして私達は広い露天風呂に､バラバラになって入った｡
『…この事はなかった事にしようね？忘れてね？』
「どーしようかねィー」
『なんでー！……あ』
ふと見上げると月がキレイで｡
このまま時間が進まなければいいのにって思った｡
『…キレイだね』
「華のがキレイでさァ」
「おい。…」
別々の方向を向きながら話していると､近くの草陰がガサガサと動いた
『!!…え､なに？』
「まさか敵が俺らに気付いたか？」
「華､動くなよ」
そして総悟くんとトシさんが私の左右で立ち上がった｡
「｢誰だ!!!/誰でィ!!!｣」
「本当にここで合ってんのか？」
「間違いないアル…ほら！」
『神楽ちゃん！銀ちゃん！』
ハラリ
『………え』
「｢｢｢………あ｣｣｣」
『いやー！！！』
*****
それからの意識はなく､気がつくと新しいピンクの着物に着替えていた｡
『？』
「あー！起きたアル！」
『神楽ちゃん､銀ちゃん…！』
そうだ､私タオルとれちゃって！！
うぅ…みんなの顔見れないよ…///
「だっ､大丈夫だ｡見てねぇよ？///」
『本当に？』
「脇腹にほくろあるのとか…あ」
『やっぱり見たーっ//』
「着替えさせたのはチャイナだから心配すんなィ」
『うー…///』
気が付くと手錠は外されていて…性格には壊されていたのだが。
『そういえば普通に初めからいる様な顔してるけどさあ…2人共なんでいるの!?!?』
「あ？声聞こえたから」
『声聞こえたからって…』
「あﾞー！だから迎えに来たんだって！」
本当は嬉しくて嬉しくてたまんない｡ぎゅってしてほしい｡ただいまって言いたい…｡
だけど…私にそれを言う権利はない｡
『………帰って』
「…は？」
「何言うネ」
『…ごめんね､ばいばい｡』
「華…」
「なん」
『沖田くんとトシさんも』
「だからさっき言ったじゃねぇです…」
『もう本当にいいの!!!めっ…迷惑なの!!私の事は忘れて､今まで通り暮らして？』
「ふざけんな……」
『ふざけてない!!!…もういいでしょ？疲れたの｡毎日の洗濯にもご飯にも掃除にも仕事にも!万事屋は3人で十分…私なんかいらないよ｡だから､ばいばい…』
私は下を向いて風呂場を出て元いた場所へ走った｡
みんなの顔をみたらきっと言えないと思ったから｡
きっとこれでみんな帰ってくれるはず｡
迎えに来てくれた、それだけで私には満足すぎるぐらい。
『…ばいばい』
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