世界の平和は甘い物を食べる事から始まるのだ 密かな期待と迫りくる時間 「なんで帰って来たんですか!」 「なんでって、そりゃあいつが帰って来ねえって言うから」 「華があんなこと、言うなんて思わなかったヨ」 「…華は絶対に何か隠してる。それは確実なんでさァ。重要なのはなぜ、帰ってこれないのか。その理由だ。」 「それから将軍様の正体。…ありゃ人間じゃねぇ」 「どういう事だトシ!」 「なんかに乗っとられてるって事だよ。多分あれは鬼だ」 「本当か!?じゃあ今すぐとっつぁんに」 「それはダメでさァ。」 「なぜだ!?!?じゃないと5日後に華は…」 「どうせや」 「…どうせやるなら鬼退治は盛大に、だろ?」 「あぁ。やってやりやしょうゼ」 ***** あれからというもの、私はまるで抜け殻の様だった。 部屋に人がくると、みんなかもって期待してしまう自分が腹立たしかった。 もう会えないのに。 「また考えているのか。」 『う』 そして常に部屋には将軍…否、鬼。 もうなにをするにも側にいて本当にうんざり。 定春がべったりしてきてもそんなこと思わなかっ…はぁ。 すると障子の向こうから女中の声がした。 「面会です。」 『はい』 どうせまたどこかの大名とかだろう。歌舞伎町の人間は一切通さないらしいし。 ていうか私囚人みたいじゃん 『…あ』 「よう華ちゃーん」 その人は、よく聞く松平のとっつぁんって人だった。 「下の奴等からいろいろ聞いてよぅ、話してぇなぁってずっと思ってたんだよおじさん」 『そうなんですか』 それからいろいろな話をした。仕事の事、自分の事、真選組の話がでた時はちょっと寂しかったけど、いろんな話が出来て楽しかった。 今日はとっつぁんと、仲良くなれた。 『…あの、結婚式くるんですか?』 「もちろん」 『そうですか』 せっかく仲良くなれたのに、結婚式にくるってなんか複雑… 「………わりぃな、華ちゃん」 『え?』 「なんでもねぇよ。じゃあおじさん帰るから」 そう言ってとっつぁんは帰って行った。 また、あいつと2人。 昔を思い出して吐き気がしそうだったけど私は部屋に戻った ───結婚式まであと3時間 - [*前へ][次へ#] |