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Short dream
アイスより甘い君 涼野夢 甘

日本は夏真っ只中。

蝉の鳴き声と風鈴の音を楽しむ



















・・・























・・・なんてことは出来ない。

理由は簡単。暑いから。



「風介ぇー。暑いー。死ぬー」

「それ位で死ぬ様な体じゃないだろ」

「そーだけどさー。暑いもんは暑いー」

「私だって暑いんだ。我慢しろ」

「じゃあ何で一人でアイス食べてんのよ!?」

「・・・私のだから」

「一口ちょーだい」

「嫌だ」

「けちー」

「ケチで結構」

そんな口論をしながら、涼野は美味しそうにソーダ味の棒アイスを楽しむ。

隣ではその彼の彼女が茹だっている。

そして、彼氏のアイスを物欲しそうに眺めている。

「・・・」

「・・・」

「じー・・・」

「やらんぞ」

「うー・・・」

途端にしょげ込む。

悲しそうに、眉を下げて俯く。

それを見た涼野は何故か罪悪感に苛まれた。

段々と、名前は目頭に涙を溜め込み始めた。

偶に、チラッとアイスを見る姿がもどかしかった。
















「・・・一口だけだぞ」

「ホント!?ありがとっ。風介大好きっ!」

「五月蝿い」

照れながらアイスを差し出す。

さっきまでのが嘘のようなそんな顔で風介をみつめる名前。













ぱくっ。













「冷たいっ!おいしー」

嬉しそうに笑う。

名前の笑顔を直視した涼野の手から、アイスがぼとり。









自分がアイスを落としたことにすら気づかない。









(アイスよりも甘い君)
(あぁ、やはり私は名前に甘い)

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