貫く男心(4/5)
二重で、くりっとした大きい瞳に長い睫毛。
眼が大きいと、どーしても白目が多くなりがちなのに、
顔の造りが小さいせいか黒目の割合も多く、
ウルウルと濡れて見える。
そして、上品な形のスッとした鼻。
ふっくらと厚みがあって、
綺麗なさくら色の唇。
横に一つに束ねた長い髪は、
少し癖があり、フワフワと柔らかそう。
その絵に描いた様な美少女に、
三人は絶句する。
「おいおい。
マジで可愛いぞ。あの娘」
「すげー美女‥」
「か‥完璧だ」
頬を染めながら固まる三人の後ろで、
ふっふっふー!
と満足げに笑うチュウ。
「賭けは俺の勝ちだな」
ほれほれさっさと出しやがれと手を出すチュウに、
ちぇっとか言って、
しぶしぶと、掛け金を出す三人。
勝負が終わった彼らは、
しゃがみ込んだまま、彼女に聞こえない位のボリュームで話し始めた。
「しっかし、すごい綺麗だな、あの娘。
声かけてみるか?」
「ああ、ほんとすげー可愛いよ。
人形みてー」
「まぁよく見つけたよなぁ、
あんな美女。
美術部にもいたのな、
イケイケ美人」
「チュウレーダーにビビっと引っ掛かったわけよ、
あのカワイコちゃんが」
「「「「ん?」」」」
四人は自分達の言葉に違和感を覚える。
そこで、大楠が切り出す。
「おいおい、
ちょっと待てよ、お前ら。
あの娘は美人だろ?
綺麗系だろ?」
「いや、可愛い系だろ!
洋平も人形みてーだって言ってたじゃんか」
「人形みてーだからって可愛いとは限らないだろ。
綺麗な人形だっているよ」
「ちょ、ちょっと待った。
こんな事で争ってもしょーがねーよ。
何熱くなってんだ、お前ら」
「「「だって、あの娘は‥!」」」
(やれやれ、マジになってんなよ。
花道の悪い影響か?こりゃあ)
ふぅ、と息をもらしつつ洋平が提案する。
「じゃ、多数決で多い方が正しいって事で」
よしわかったと、提案に乗る三人。
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