貫く男心(5/5)
コホン。
「ええ、綺麗だと思う奴、手ぇ挙げろ」
真っ直ぐに手を伸ばす高宮と大楠。
「‥じゃあ可愛いと思った奴は?」
洋平とチュウが手を挙げる。
「「「「‥‥‥」」」」
「こ‥これじゃあ、多数決した意味ねぇ!」
不満そうな表情で三人お互いの顔を見合う。
「だぁ!めんどくせー!
絶対美人だって!
どう見ても綺麗系だろ!」
「だーかーらぁ、カワイコちゃん、可愛い系だっつーの!
大体、俺が見つけたんだから、俺に決定権がある!」
「俺も話に参加させろー!!」
くだらないことで、言い争い始める三人。
「おいおい、何やってんだよι」
だからお前は馬鹿だっつーんだ、とか関係ない事まで言い、
終いには手を出し始めた。
「ばっ、ばか!
こんな狭いトコで暴れたら‥!」
「「「「おわァ!?」」」」
しゃがんだままの体勢で四人は茂みの外へと、なだれ込んでしまった。
もちろん、目の前には噂の美少女。
四人が顔をあげると、少女は丸い瞳をして、こっちを見ていた。
(さ‥最悪)
(絶対変な人だと思われた)
(声かけようと思ってたのに)
(‥‥‥ι)
「あ‥いや、あの‥俺達は‥」
「‥‥ぷっ」
突然、くすくすと笑い出す少女。
あまりにも可笑しかったみたいで腹を抱えて笑っている。
(なんか、嫌われてないみたい)
安心したのと、少女の可愛い笑顔から、
四人の顔は緩む。
すると、チュウがへら〜っとした笑顔で彼女に手を振った。
「‥‥‥っ!」
突然、彼女の表情は一変する。
とても驚いた様子。
その顔はカーッと紅くなる。
(な‥なに?
どーしたんだ?)
わたわたと慌てだして左右を見渡す少女。
周りに誰も人がいないのを確認すると、
慌てて荷物を取り、走り去ってしまった。
ポカーン。
倒れ込んだまま、取り残された四人。
(‥もしかして、自分と俺達以外、
人がいないって、気付いてなかった?)
(‥なんだったんだ。
天然か?アレは)
「でもよ‥とにかく‥」
「「「「可愛かったなー」」」」
実際、彼女の行動を見て、可愛いのを認めた大楠と高宮。
四人は、可愛らしい彼女の笑顔を思い浮かべ、
ニヤニヤと顔を緩ますのだった。
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