貫く男心(1/5) 「おっ!美術部発見!」 「何処何処!?」 大楠の言葉に大きな声で答える高宮。 「馬鹿っ、 声でけーよ!」 大楠が慌てて口を塞ぐが、時既に遅し。 こちらに気が付く美術部員。 振り向いた娘にヒラヒラ〜と笑顔で手を振る二人。 が、 「き、 キャー!」 恐怖の表情で、逃げる女の子。 まぁ、金髪と坊主眼鏡のヤンキー二人がいたら、ね。 「ああっ‥ 何も逃げることないじゃないか〜」 悲しい表情を浮かべる高宮。 それを、大楠がゲンコツでポカッと殴る。 「馬鹿っ、 お前が大声あげるからだろ! つーか、なんでさっきからついて来るんだ、テメーは。 お前が毎回騒ぐから、あの娘達が逃げんだろーが!」 「いや、 大楠のが、趣味が合うと思ってよぅ。 オレもどっちかってゆーと、美人のが好きなんだよぅ」 「馬鹿たれ! 二人で一人見つけたら、賭けの分け前が減るだろ?」 もう一度高宮の頭を殴り、もめる二人。 そこに洋平がゆっくりと歩いてきた。 「よぅよぅ! お前ら何騒いでんだよ? あんま、美術部に迷惑かけんじゃねーぜ!」 はっはっはっとか笑いながらポンポンっと大楠の肩を叩く。 「おー。洋平。 高宮が毎回大声あげて、あの娘達が逃げんだよ。 これじゃ、探すどころじゃねーよ」 「なんだよ、高宮。 それじゃあ勝負になんないぜ? それに、二人だと分け前が減んぞ」 「そりゃあ、大楠にも言われたよ〜」 馬鹿だなーとか言いながら笑っている洋平。 そんな彼につられて、いつの間にか大楠の気も落ち着いていた。 「ところで、洋平の方はどーよ? 可愛いor美人な娘いたわけ?」 「ん〜。 なんとなく一通り見たんだけどよ、 何人かいたぜ? 見に行ってみるか」 「おう! じゃあ、俺達の審美眼で評価する」 「美人を見極める」 「はぁ?んだよ、エラソーに」 ぷぷっとか笑いながら言う洋平。 三人は何箇所か移動して、洋平の言う娘を順番に見て回る。 . [*前へ][次へ#] |