散雪華〜貴方と共に〜
認められた腕
「いい腕してると思うよ? 最後の突きをちょっとずらしてなかったら、止められてたと思うし。と言うか、ぼくの三段突きを止めたっていうこと自体が驚きだったんだけど…」
貴方が憧れでしたから。
手合わせできて本当に嬉しかったです。
言いたいことはたくさんあった。
でも、喉が潰されたように全く機能してくれない。
「あれ?ごめんごめん。君が予想以上に強かったから、つい本気でやっちゃった。」
「…だい、じょうぶ…です。手合わせ、して頂いて…ありがとう、ございました。」
やっとそれだけ言えた。
それくらい、彼の突きは強烈だったのだ。
「おいおい、大丈夫か?総司、お前本当に加減なしでやったんだろ?」
「だって、そうさせたのは一葉ちゃんですよ? ぼくだって寸止めくらいにしとこうと思ったのに、二突きも止めるから。思わず角度変えて打ち込んじゃいました。」
「でも、沖田くんとそれだけやりあえる腕をお持ちなら、特別に隊士として扱っても問題ないのではないでしょうか?」
「ああ。一葉くんの腕だったら是非とも隊士として歓迎したいところだが、どうだ、トシ?」
「ああ。そうだな。こんだけ腕のある奴は久しぶりだな。平助を倒して、まさか、総司と互角に戦うとはな…正直驚いたぜ。」
隣で平助がすっごい不機嫌そう…
「次の試合じゃ絶対負けねえからな!!」
「平助じゃ敵わないと思うよ? もしかしたら新八さんも負けちゃうかもね。一君には敵わないだろうけどね。あはは!」
「総司のお墨付きの腕前、今度是非拝見したいもだな。」
「お墨付きだなんて…。 試合には負けましたし」
「だが、まさかあそこまでやり合うとは思わなかった。」
皆さんの話しだと、新選組、いや、浪士組に入ってくる人たちは本当に腕の悪い人ばかりらしい。
だから、私のような腕を持った人は本当に有難いと言われた。
[*前頁][次頁#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!