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「はっ……ぐ、んん……ぅ、んッ」
「っは……」


俺は、必死で腕に歯をたてて声を殺す。
ナカを、森下が、我が物顔で犯している。
ただそれに耐えて、込み上げる想いを見ないフリをしたくて、目を閉じた。

いつものことだ。もう慣れた。
こうして、森下に気が済むまで犯されることにも。


「……っミ、キ、……ミキ……っ」


こうして森下に抱かれながら、森下の想い人の名を、呼ばれることにも。


「……出そ……っ」
「はっ、は、……っん、カズ……ッ」


いつものことだ。もう慣れた。
慣れたから、だからこうやって、森下が想う彼女と同じように、森下を呼べる。
躊躇いなんかない。胸の軋みなんか、感じない。
(、だって、)


「っ……!」
「ぁっ、っつ、……っんんッ!」


だって、痛みを感じたって、いくら苦しくたって、切なくても。


「っミキ……!」


俺の犯した過ちは、消えない。
俺には、森下の“ミキ”には、なれない。


「んっ、ぁ――……っ!」


真っ暗だった目の前が、真っ白になる。
その白の中で、森下が笑う。
前みてえに、無邪気に、楽しそうに。


「っく……」


最奥で、森下が果てる。
広がる熱。終わりを告げる熱。だけど、終われない。
白の中の森下が、霧散して、目の前で消えてなくなった。
ああ、もう、思い出の中でさえ、戻れねーんだ。
そうして俺は、現実を、叩きつけられる。


「好、き……っ」


熱い吐息とともに溢れた言葉。それは決して、俺に向けられたものじゃあ、ないのに。
俺には森下の体は熱くて、ナカに広がる熱は熱くて、森下の言葉は、あまりに熱くて、熱くて。


(す、き、)


俺は、口に出さないように唇を噛みしめながら、何度も胸の奥で繰り返す。


(好き、)
(好きだ、)


いっそのこと、と思う。
いっそのこと、森下への想いなんか忘れて、森下を嫌っちまえたらと。

だけど。
(こんな関係に、なっても)


(、もり、した)


好きだ。好きなんだ、森下。


(もりした)


お前には、俺の想いは、届かなくても。









* * * * * *



朝の爽やかな光で、目を覚ます。
昨日カーテンを閉めないまま寝たらしい。遮るもののない日光は、寝起きにはかなり眩しかった。
俺は目を細めながら、ゆっくり上体を起こす。その動作をする際に、体に違和感はない。


「……夢か」


安堵して、はあ、と1つ息を吐く。
嫌な夢。嫌な夢を、見た。ただそれだけのこと。
自分にそう言い聞かせ、俺はベッドから降りる。
ふと、間抜けにも下半身を見下ろした。
やっぱり、つうか当然、朝勃ちはしてなかった。
それに安堵して、でもなんかやりきれないような気持ちになって、俺はまたベッドに座りこむ。


「くそ、……」
























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