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美食日記
02


「ここですっ!」


菊さんを連れて耀さんのお店に行くと、菊さんは若干驚いたように言った。


「中華料理屋…ですか…」

「そうですよ!ここは本当に美味しいんです!行きましょう」


ポチ君を店の外に置いて、私たちは店の中に入って行った。














「いらっしゃいませ!」

「あ、湾さん!」

「あ、名前さん、こんにちは〜」


出てきた湾さんと挨拶していると、後ろの菊さんがワナワナ震えだした。


「…菊さん?」

「え?菊…って」

「湾!?」


菊さんの声が店中に響く。


「き、菊兄さん!どうしてここに!?今まで何処に行ってたの!?」

「え…兄さん?」


私が目をパチパチさせていると、奥からドタドタという音と共に、耀さんが出てきた。


「あ、耀さ…」

「菊!?菊あるか!?」

「耀さん…」


菊さんは少し眉根を寄せて、耀さんから目線を外した。


「お前今まで何処行ってたある!帰ってくるあるよ、菊!」

「…その話はもう済んだ筈です」

「菊兄さん!」


湾さんを見て、菊さんは踵を返した。


「あ、菊さん!」

「名前さん、たいへん申し訳ありません。私は帰らせていただきます」

「え…でも…」

「お誘いありがとうございました。またうちにでも遊びにきてください」

「待つある、菊!」


菊さんは私に笑いかけてから、足早に去って行った。


「菊さん!」

「待つある」


菊さんを追おうとした私を、耀さんが呼び止めた。


「お前には聞きたいことがたくさんあるよろし。店に入るある」






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あきゅろす。
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