アイマイモコ 07 いつでも俺を、優しい目で見てくれるクラスメート。 でも本当は、本当の自分を見てくれていた奴なんて、実は1人もいなかったんじゃなかったのかと、雄大に言われて改めて思った。 『お前が変わらない限り──』 何よりも、俺自身が本当の自分を出していなかった気がする。 「瑞兄、どうしたの?」 「いや、なんでもない。…なぁ葉月、彼氏が諦められないならそれで良いんじゃないか?」 「‥え?」 俺の人生は、常にレールに敷かれたマニュアルのような生活。人の意見を聞いて、その意見に左右されてる自分。 だけど本当は分かっていたんだ。 「諦めるな」 「諦めるなって…」 「お前が本当に好きなら、もっと頑張ればっていうことだよ」 「へぇー、ドライな瑞兄が“諦めるな”なんて、めっずらしい。雪でも降るんじゃない?」 「うるせっ」 自分に自信がなかったんだ。 俺はただ、陸に相応しい男になりたかったんだ。 だから大人ぶって、自分が陸よりも優位に立ちたくて本当は気になるのに、気にしない振りをして、気付けば俺は今にも窒息しそうなくらいに自分の首を絞めて、後戻りも出来なくなっていた。 人のせいにするのはすごく簡単な事だ。だけど、その後には何も残らないのだ。 残るのは虚しさだけ… 『瑞樹ー!あのね、俺──』 『ずっと友達だよ』 『約束する、俺はずっと瑞樹が大好きだからね?』 『じゃあね瑞樹…』 あの後ろ姿を見た時、まさか居なくなるなんて思わなかった。 自信はなかったけど、陸の想いは過信し過ぎていた。 『ずっと友達だ、陸』 ──約束を破ったのは、俺だ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |