GOD GAME ページ:3 「仏説摩訶般若波羅蜜多」 「何…!?」 しかし天人が数珠を右手に付けながら読経し始めれば… パァン! 「ギャアアア!」 「ミ、御子柴様ァア!」 低級神々が次々と風船が割れたかのように破裂していく。 一方の少女御子柴は御札を自分の口元へやり、眉間に皺を寄せて天人を睨み付ける。 「何…この人間…まさか…ワタシに刃向かうつもり…!?」 「御子柴様お下がり下さい!」 「天狗…!」 「この者からは普通の人間では有り得ぬ力を感じます」 「だからと言って…外道な人間相手に引き下がるわけ無いじゃない…」 キィン! 「え…、」 すると天人から2体の人形をした紙切れ…式神が飛び出して御子柴の頬を切り、天狗の長い鼻をボトリと切り落としたのだ。 「イギャアアア!?わわわ私の自慢の鼻がぁあ!」 タタタタ! その隙に、椎名をおぶった天人が石段を駆け降りていく姿を、今カマイタチにあったかのように切られた頬から滴る青い血を拭い、御子柴は笑った。 「はぁ、はぁ!後もうちょいだから!我慢しろ奏!」 「うわあああん!」 石段を全て降りきった天人。あとはこの雑木林に囲まれた獣道を抜けて目の前にある橋を渡ってしまえば尼子寺に着く。 「はぁ、はぁ!寺に着けばこっちのもんだぜ!な!奏…あれ…?かな…で…?」 物音がして振り向けば。たった今まで自分がおぶっていたはずの椎名が背中にはいなくて、後ろに立っている御子柴に抱き抱えられていた。 「うわあああん!天人!」 「奏!!くっ…!お前奏から離れろ!!次はさっきのと違ってお前を殺してやるからな!!」 「嗚呼…煩わしい…耳障りな声ね…人間の声というモノは…。なら…お喋りなアナタのその口が…お喋りできなくなるくらいのショックを与えてあげようかしら…フフフ…」 ズルッ…、御子柴は口内から長い御札を取り出すと椎名に翳す。 「ま、待て…お前…!奏には何もすんな…!」 「アナタが大事な従弟から先に殺したら…お喋りなアナタが黙り混んでしまう姿が見れるわぁ…フフフ…フフフ…」 「…めろ、や…、やめろぉおおお!!」 ドンッ!! 「天人…!!」 御子柴に体当たりした天人。衝撃で御子柴の腕から落ちた椎名。逆に、体当たりをした天人が御子柴の長い御札を貼り付けられた。すると御札は生きているかのように伸びていき、ミイラのようになる程天人にぐるぐる巻き付く。 「う"あ"あ"あ"あ"あ"!」 「天人!!」 「フフフ…成功成功大成功…。アナタみたいな正義感の塊はねェ…従弟を庇う為にワタシに自ら体当たりしてくると予想してたのよ…。初めから従弟の方では無く…尼子天人…アナタを狙っていたのよ…。人間が持ち得ぬ力を持つアナタを封じてしまえば…ワタシの勝ち…。フフフ…」 「う"あ"あ"あ"あ"!!」 「天人ー!!」 「だんだんと命を磨り減らしていく様をじっくり観察するのも…悪くないわね…今日のところは…このくらいにしてアゲルワ…。本当は造り直しの儀を施してやりたいけど…お嬢は童が大嫌いだからね…連れて帰っても良い顔しないでしょうから…フフフ…。数年後…ワタシに呪われたどんな姿で会えるのか…楽しみにしているわ…フフフ…」 そう言い残し、御子柴と天狗は背景に溶け込むようにスウッ…と消えてしまった。 「天人!天人しっかりしてよぉ!天人ぉ!」 「う"…う"ぅ…、」 バラ、バラ…、 踞る天人の体に巻き付いていた御札達がバラバラになって剥がれ落ちる。椎名はわんわん泣きながら、踞る天人の背中を揺さぶる。 「…!?天人…どうしたのその髪の色…!?」 椎名は気付いた。たったさっきまで自分と同じ日本人らしい真っ黒い髪をしていた天人の髪色が、老人のように真っ白になっていた。 「あま…、と…、」 「奏…大丈夫か…?」 「えっ…」 まだ7歳なのに真っ白髪で顔は窶れ、所々には皺が寄っていて一気に老けてしまった天人が持ち前の明るさでニカッと無理をして笑う。 「あ、あまとっ…」 「奏が無事で良かった…。何てったって俺は奏のヒーローだから、な…!」 「…!!」 きゅっ…、と力無く握ってきた天人の両手も老人のように皺が寄っていた。 帰宅後、尼子寺――――― 「なっ…!?天人どうしたのですその髪の色は!?」 「天人!奏!お前達何処へ行ってきた!?神々のニオイがするぞ!まさかお前達…裏山に在る御子柴神社へ行ったんじゃないんだろうな!?」 「キャアアア!天人が!うちの子が御子柴神に呪われたぁあ!」 「あれだけ行くなと言っただろう!!何故行った!あの神社の神は悪神アドラメレクの手下で、人間は皆殺しか死ぬ呪いをかける神で有名なんだぞ!!」 「奏!貴方がうちの天人を御子柴神社へれて行ったのですね!?天人は奏を庇ったばかりに御子柴神から老化が常人の倍早くなる呪いを受けてしまった!我が尼子寺の大事な後継ぎになんて事を!!椎名まひるさん目障りです!今すぐ奏を連れて出ていきなさい!金輪際尼子家に関わらないで!!」 場面は戻り、 現在―――――――― 御子柴の祠に仏花を添えた天人と御子柴神社の石段を降りながら、11年前の忌まわしき記憶を思い出していた椎名。 「っはー!は〜ら減ったよーん!なぁ奏!今日の夕飯何か当てっこしよー!俺ねーハンバーグだと思う〜♪」 「天人…ごめんね…」 「えぇえ!?ちょ、何いきなり謝っちゃって!?かなちゃんがしおらしくなるとか!夏なのに明日雪降っちゃうじゃーん☆」 「うざっ…」 ドスッ! 「ぐえっ…!み、鳩尾に肘入れんなよ奏の…バカちん…!」 そうこうしている内に尼子寺に着いた2人。 ガラガラッ、 「たっだいまんぼー!天人お兄ちゃん帰ってきったよーん!今日の夕飯何〜?」 相変わらず能天気な天人に溜め息を吐きながらも、天人に続いて玄関へ入る椎名。 スンッ…、 「!?」 バッ! また昼間のあの"濡れたままの洗濯物のニオイ"がして椎名は咄嗟に墓地の方を振り向く。 「…?」 すると、辺りは暗くなってはいるがぼんやりと…墓地にユラユラ揺れる真っ黒く靄のような人影を見つけた。 「由樹ちゃんの…お墓…?」 ゴシゴシ。腕で目を擦ってもう一度目を凝らして見たが、由樹の墓の前で揺れていた黒い靄のような人影は消えていた。 「気のせい…?それか…墓地だし…8月だから…幽霊が…帰ってきた…のかな…」 「おーい奏ー!飯飯ー!」 「今…行くよ…」 靴を脱ぐと、玄関の引き戸を閉める椎名だった。 ピシャン! ザアーッ…、 21:45、尼子寺――――― 昼間はあんなに夏空の快晴だったというのに。今は雨音がテレビの音を掻き消す程強く激しい。 夕食を食べ終え、天人の幼い弟や妹達がすっかり寝てしまった晩。寺というだけあって周りの民家から離れているし山寺だから、雨音が無ければしん…と静まり返っているそんな場所。 天人が入浴中の為、椎名は天人の部屋の畳の上で正座をしながら2つの小瓶に入っている黒い液体にまみれた黒い塊を瓶の外側から眺めている。 いつも仏頂面な椎名らしかぬ、まるで小瓶の中の塊を愛しむように眺めているのだ。時折小瓶を指でつついて声を掛けながら。 「まだ…あんま大きく…ならないね…。でも…いつかきっと…完成するから…ね…。待っててね…」 コツン、 2つの小瓶をつつく。 「お父さん…お母さん…」 ガラガラッ、 「!!」 「ふぃ〜っ極っ楽っしたー♪」 天人が銭湯あがりのおじさんのように肩にタオルをかけて戻ってくれば、ビクッ!とした椎名は慌てて小瓶を2つ鞄へしまう。 「ん?奏どったの?今何か…」 「う、うんうん…。何でもない…何でもない…よ…」 怪しくて挙動不審な椎名を見て天人は顎に手を添え、キラーン!と目を光らせる。 「はは〜ん。奏お前今何か隠しただろ〜?」 「!!」 ビクッ! 「あー!今あからさまにビクッ!ってした!やっぱな〜!お前俺に隠れてエロ本読んでたんだろ!」 「…は?」 全くの検討違いだし、下品な事が大嫌いな椎名はイラッとして目尻をピクッと痙攣させる。 「分かってる分かってるって!かなちゃん女っ気無いっつっても男だからな〜!それに健全な男子高校生ならとーぜんのコト!クラスの奴らには内緒にしといてやるからさ♪だってヴァンヘイレンのエース奏がコソコソエロ本読んでたなんて広められたく無、があっ!?」 ゴツン! ティッシュボックスが見事天人の顎に命中。投げた椎名の背後にはメラメラと真っ赤な怒りの炎が燃え上がっている。 「か、奏さん!?」 「下品な本…僕が読むわけない…じゃん…。天人さ…一回死んだ方が良いよ…」 「奏さんめっちゃ怒ってます!?」 ピンポーン…、 「あ。お客さん?」 妙に間延びした不気味なチャイムが寺一帯に鳴り響く。雨音に混ざって。 「こんな時間…に…?」 「よくあるんだよーん寺だからね。廃墟や心霊スポットで幽霊見たー!助けてくれー!っていう連中が寺に駆け込んだりねー。俺パンツ一丁だから、かなちゃん出てきてー」 「はぁ…?何で僕が…」 「お願ーい♪」 「あ…ちょっと…待っ、」 ピシャン! 天人はヒラヒラ手を降ると脱衣場に戻る。脱衣場からは天人が髪を乾かすドライヤーの音が聞こえ出すから椎名はブツブツ文句を言いながらも玄関へ歩いていった。 玄関――――― 「僕尼子じゃないのに…椎名なのに…何で出なきゃ…なの…」 ブツブツ。言いながら玄関へやって来た椎名がふと顔を上げると。確かに其処には格子上のガラス越しに訪ねてきた人間の真っ黒い影が1人立っているのが見える。 「今…開けます…」 ガラッ、 「はい…、…!!」 扉を開けた瞬間、椎名は息を呑んだ。其処には真っ黒い靄の人影が1人佇んでいたから。それに… ――湿臭い…!こいつ…もしかして昼間…由樹ちゃんの…墓に居た奴…!?―― しかし神でも悪魔でも無い気配のする人物。だが椎名はいつも背に担いでいる槍を取り出…そうとするが。 「あれ…あれ…?あ…宿舎に置いて…きた…」 スカッ、スカッと手は宙を掻くだけだった。何故なら槍を宿舎に置いてきてしまったから、椎名の手元には無い。だが、人ならざるこの者と対峙せねばという本能が働き、椎名は玄関に立て掛けてあった箒を掴み、この人物に振り上げる。 「…!?消え…た…?」 振り上げた時。既に其処には誰も居らず。ザアーッ…といううるさい雨音がする闇夜が広がっているだけ。ただ、玄関の床には黒い血のような足跡が1人分あるだけ。 キョロキョロ。 箒を構えたまま玄関の外に出てみても、誰も居らず。気配すら無い。 「何で…一瞬の内に…」 「かーなちゃん。夜遊びは行かせませんッ」 ゴツン! 「痛いっ…」 振り向けば、ジャージに着替えた天人が漫画本で椎名の頭を叩いて立っていた。 「お客さん何だった?」 「いなくなった…」 「あー。かなちゃんが仏頂面だからお客さんビビって帰っちゃったわけね」 「違う…。黒い靄みたいな…人形の奴…が…居た…。昼間言ってた…湿臭いニオイがした…。でも…いつの間にか…消えてた…。あ…ほら…この黒い足跡…そいつの足跡…だよ…」 床についている足跡を椎名が指差すが、天人はチラッとしか見ず、くるりと背を向けて戻っていってしまう。 「オバケさんかもね〜。寺はそういう事よくあるから。悪い気はしないから大丈夫大丈夫ー!」 「ちょっと…天人…真面目に聞いて…よ…。ねぇ…」 パタパタと天人を追い掛けていった椎名。 ペタ…、ペタ…、 すると床についていた黒い足跡は生きているかのように動き出し、玄関の階段を登り、家の中へあがると廊下を歩いていった。天人と椎名を追い掛けるように。 ペタ…、ペタ…、 23:50―――― 「これ超懐かしいー!俺と奏と由樹ちゃんでさ庭でビニールプール入ってた写真!」 布団に潜りながら昔のアルバムを開いてはしゃぐ天人と、つまらなそうにしつつも聞いてやっている椎名。 「この後から俺達3人揃って会う事は無くなっちゃったんだよなー」 「……」 「奏さ」 「何…」 「叔父さんと叔母さんを殺した犯人の顔…見てるんだろ」 「……」 天人から見た叔父さんと叔母さんとは椎名の両親の事だ。ただでさえつまらなそうにしていた椎名は更に仏頂面になり、天人から顔を背ける。 「何年も経つのに犯人まだ捕まってないだろ。お前、警察に聞かれても顔見てないって言うけど…」 「見てない…」 「本当?」 「見てないものは…見てない…よ…」 「……。奏何か隠してない?」 「隠してない…」 「……。そっか」 パタン。アルバムを閉じた天人はいつもの笑顔に戻る。 「んじゃー寝ますか〜。あ。因みにっー!明日何処行く?俺さ〜服買いたいんだけ、」 「由樹ちゃんってさ…神に…殺された…の…?」 椎名は天人に顔は向けず、殴り付けるように窓に降り注ぐ雨をボーッと見ながら問う。 「そっか。奏はヴァンヘイレンで出張?っつーの?遠出してたから由樹ちゃんの葬式出れなかったんだもんな。…由樹ちゃんの婆ちゃんが言うには由樹ちゃん中学の頃いじめられてたり家庭内が不安定でさ、色々ヤバかったらしいんだよ。そんな時たまたま見つけた御殿神社に通うようになったらしくてさ。ほら。由樹ちゃんって俺らなんかよりも超霊感あるじゃん?だから御殿神社の御殿神が見えたらしくて、その御殿神と仲良くなったらしい。で…」 「造り直しの儀に…あって…殺された…の…?」 「…だな」 椎名が突然立ち上がるから、天人は布団に潜ったままびっくりして椎名を見上げる。 「奏?」 「御殿神社って…此処からすぐ…近くの…神社だよね…。行ってくる…神殺しに…」 「待って待ってstop you!!ストップ奏!由樹ちゃんを造り直しの儀に合わせたのは御殿神じゃないんだって!」 椎名の服を引っ張りながら、椎名が行くのを止める天人。しかし椎名は天人をズルズル引き摺ったまま言う事を聞こうともしない。 「じゃあ…誰…誰が由樹ちゃんを…殺したの…」 「それは…。それは…御殿…神…。あ"ーー!待って待って奏!ストップ奏!」 バッ!と扉の前に両手を広げて行かせまい!とする天人。そんな天人の急所を思いきり… ガツン! 「っつ〜〜!?」 足で蹴った椎名。 天人は目玉が飛び出そうになる程の痛みに涙を流して急所を押さえながら踞る。その隙に椎名が出て行こうとするが… ガシッ! 椎名の足を痛みに悲鳴を上げながらも掴んで行かせまいとする天人。 「何…いい加減…うざいよ…天人…」 「俺は元からうざキャラだからね〜痛っつつ…、まあ由樹ちゃんと御殿神の事は…奏は突っ込むなって、な?」 「……。天人…どうして…神の肩をもつの…。ヴァンヘイレンの…堕天神アガレスと…メア…の肩ももった…よね…。天人どうして…」 「俺はさ。由樹ちゃん程じゃないけど奏よりも霊感があるから聞こえるの」 「……?何が…」 天人はニカッと白い歯を見せて笑った。 「みんなの声がさ」 「はぁ…?オカルトに…ハマリ過ぎ…だね…」 「ま、もう遅いし御殿神社へ行きたいなら明日俺と一緒に行こうなー。おやすみー奏ー!」 バフッ!と布団に潜る天人を見て肩を竦めてから椎名も、渋々布団に潜って眠る事にした。 ザアーッ…、 雨は降りやまず。 AM2:20―――― ムクッ。 寝ぼけ眼の椎名が起き上がる。 「トイレ…」 ふら〜っと歩き、廊下へ出る。隣に天人が居ない事にも気付かず。 フラフラ、半分寝た状態で廊下を歩きさ迷う。 「トイレ…確か…この角を…あ…あった…」 キィッ…、 小さな扉を開く。 「あ…れ…?」 しかしその扉はトイレの扉ではなく裏口の扉。だから椎名は墓地へ出てしまった。寝ぼけているから、首を傾げる。 「トイレ…トイ…あれ…?外…?トイレが…消えちゃった…?」 ザアーッ… 「――――!」 「…声?」 雨音に混じって真っ暗闇の墓地の方から声が聞こえた。半分寝ている椎名だが、フラフラと声のする方へ歩いていった。 一方、声がした墓地では。 ザアーッ、 「ウ"ウ"ウ"ウ"!!」 「ぐっ…、」 先程寺にやって来た黒い靄の人影の前に、天人が右腕から血を流して片膝を着いていた。 靄は黒い体に目だけを浮かばせ、獣のように唸りながらその2つの目で天人を見下ろしている。 「あーあっ…。こりゃ腕折れたっぽいなぁー…痛ててて…。ったく、いい加減目ぇ覚ませっつーの。お前は今そんな状態だから聞こえないかもしんないけどなぁ、お前の大好きな子が今のお前を見て泣いてる声が俺には聞こえるんだよ。目を覚まして、って泣いてる声がさ…!」 立ち上がると天人は右腕からドクドク血を流しながら数珠を構え、靄の人影に御経を唱え始める。 「仏説摩訶般若、」 「天人…?」 「…はーあ…。奏にバレちゃったか」 ザッ…、と足音がして背後に椎名が現れれば。そうなると分かっていたかのように天人は振り向きもせずそう言う。 一方の椎名は昼間感じたニオイがする、昼間と先程見た靄の人影を前に目を見開いて驚いている。そしてそいつと天人が対峙している事にも。 そして…、靄の足元には墓を掘り起こした事で出てきた人骨が散らかっている事にも。靄の人影に掘り起こされた墓石には『渡邉』と刻まれていた。 「由樹ちゃんの…墓…」 「待て奏!」 ガンッ! 「ウ"ウ"ウ"ウ"!!」 たちまち鬼の形相になった椎名は武器が無いのも関係無い。靄の人影の頭部と思われる部分に回し蹴りを食らわせる。靄の人影は呻きよろめく。その隙に、椎名は靄の人影を踏みつけ、首を絞める。 [*前へ][次へ#] [戻る] |