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僕は帰宅部だ。
図書委員の当番がある日には図書館で仕事をしながら待ってる。
それ以外の日は、みんなが部活やら下校して誰もいなくなった教室で勉強をしながら過ごしている。


ガランとした教室は嫌いじゃない。
むしろ静かに勉強できるから、自室で勉強しているよりかは集中できるから。


そうじゃなかったらとっくに…。


「…遅れんなよ」


「わかってるって! じゃあ後でな」


そう言って、松葉杖をつきながら少し駆け足をして教室を出て行く。
僕がわざとぶっきらぼうに言ったのにもまるで気付いていない…ある意味残酷な無邪気さだ。


武流はバスケの事になると目がない。
今はケガしてて試合には出れないけど、毎日放課後には練習に参加している。
もちろん動かずにできる事を手伝っている。


「甘いよなー」


毎日のようにこの光景を見ているクラスメートが茶化すように声をあげた。


「わかってるよ」


普通だったら、あんな甘えん坊なんかとっくに捨ておかれてる。
僕を惹き付けてやまない笑顔で、知らないとはいえ人の気持ちを弄ぶ…。


でもダメなんだ。
僕はあいつを見捨てられない。


だって…僕はあいつが好きなんだから。


この想いは墓場まで持って行く。誰にも知られてはいけない。
それに、好きだと言ってしまったら終わってしまう気がする。


幼なじみもとしても友人としても…その前に人間関係もきっと壊れてしまう。


好きだけど、今まで築いて来た関係まで犠牲にしようとは思わない。
死ぬまで今の関係を続けて行くのもいいかと最近は思ってる。


だから、これでいいんだ…。

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あきゅろす。
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