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僕のささやかな願望は見事に打ち砕かれた。
武流に彼女ができたっていう噂が流れ始めた。
相手はバスケ部のマネージャー、らしい。
バスケ部のエースとマネージャー…絵面的には申し分ない。
むしろお似合いだと思う。
らしい、っていうのは武流本人に確認してないからだ。
…そんなの…できる訳ないじゃないか。
真っ向から肯定されたら、僕はきっと立ち直れない。
つらくなるから武流の傍にも行けない。
神様からの警告だとしても、僕はそれを受け入れて気持ちも新たに前を向いて進んで行くなんてできない…。
そこから動けるようになるまで、一体何年かかるやら。
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「じゅんー、じゅんー」
いつしか武流のケガも治り、朝は一緒に登校する事はなくなった。
まぁこれはいつもの事。
運動部には朝練というものが付き物だからだ。
彼女もできたら、武流も僕と帰る理由もないだろう。
どうせ残ってても一緒に下校する武流たちを見てしまう事になるから、帰宅部らしく真っ直ぐ家に帰るかななんて思ってたんだ。
「今日も乗せてってよ」
なのに何で?
武流はケガをしてた時と同じように、僕と一緒に帰りたがる。
そうしなかったのは1週間ぐらい。
部活が終わったあと彼女と一緒に帰ってたんだよな、きっと。
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