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1-2

墨をぶちまけたような真っ黒の空間が果てしなく広がってる。


    助けて

    助けて

    助けて

    助けて



何を言ってるか分からない不明瞭な声は、なぜか今日はハッキリ聞くことができた。
聞こえたのは叫びに似た悲痛な声。
――――『助けて』?

「あたしに助けを求めてるの?」

あたしの声が空間に大きく響く。
今までの夢は、一方的に聞こえる謎の声に返事をすることすらできなかった。
今までの夢とこの夢は同じようで違うんだと感じた。


    助けて

    助けて

    助けて

  ―――――を  



切り取ったように聞こえなかった部分があった。
だけどなぜだろう、直感で分かる。

「ルルーシュ…?
もしかしてルルーシュのこと言ってるの?!」

ルルーシュって言えば、あたしが今すごいハマってるアニメに出てくる主人公の名前だ。

でもなんで?
どうしてその名前が今出てくるの?

「何を助けてほしいの?
もしかしてルルーシュを助けてほしいの?」
助けを求める女の人の悲痛な声。
透き通るような綺麗な声にフッと頭をよぎった姿は。

「あなた………もしかしてルルーシュのお母さん?」

空気が震えた。
まるで、あたしの声に応えるように。


    助けて

    助けて

    助けて

   あの子を


 ルルーシュ・ヴィ・
   ブリタニアを



確信した。
この声の主はルルーシュのお母さんだ。

「助けてって言っても、あたしは何をすればいいの?」

ずっと見続けてた夢の声の主がルルーシュのお母さんなら、彼女はあたしにどうしてほしいんだろう?
助けてほしい、なんて言われても正直困る。


    助けて

  あの子を助けて

    お願い



彼女は闇の底でずっとずっと叫んでいたのだろうか。
寂しくて、辛くて、苦しくても。
あたしが返事するのをずっと待っていたのだろうか。

なら、応えなければいけないと思った。

「分かった。
ルルーシュを助けるわ。
自分の出来る精一杯で」

闇の中で小さな輝きが生まれた。
絶望の中の希望のようにも見えるその輝きは、闇を呑み込むように世界を真っ白きに染めていく。















マリアンヌさんが
笑ってくれたような気がした。





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