1-1 真っ暗闇の中、なに言ってるか分からないけど、誰かの声が聞こえる変な夢。 寝るたびに見てしまうその夢が、最近のあたしの悩みのタネだった。 寝不足が続いているのはその夢のせい。 なんで毎晩同じ夢を見るかはあたし自身分からなくて、友人いわく 『ご先祖さまが何か伝えたくて夢に出てるんじゃないの?』 だそうだ。 それってようするに、ご先祖さまの訴えが何か分かったら、もう夢に出てこないってことじゃないの? ふと、そんなことをひらめいた授業中。 先生が淡々と教科書を読み上げるだけの単調な授業はクラスメイトを何人も夢の世界へと旅立たせている。 先生は居眠りを指摘しないし、窓から差し込む陽光は暖かい。 居眠りするにはもってこいの環境だ。 それに加えてあたしは寝不足。 まぶたを閉じればすぐに眠れるだろう。 よし、いっちょご先祖さまに聞いてみよう。 腕を枕にして眠る体勢に入る。 あたしの瞳に空の色が映った。 雲一つない快晴の色。 写真に残しておきたいほどのきれいな空。 まぶたは次第に重みを増し、あたしの意識はゆっくりと深い闇に落ちていった。 [Back] [次へ#] |