BL小説「虜」 3 (……いや…でもなぁ……あれも、どうなんだ…?フィラムの奴…まだ七歳だったよなぁ…?) 遠めから見ても、二人の親密さがよく分かる。 握り合う互いの片方の手。 時折、優しくフィラムの顔を撫でる相手の手。 それに対して、擽ったそうに、目を細めるフィラム。 (…はぁ…何か…俺、無性に虚しくなってきた…だって、どう見ても、コレ…完全に、覗きだろ…?…) あぁ、来るんじゃなかった。 そうハービィが、後悔を口にしそうなった頃。 雲の切れ間から、月の光りが差し込んだ。 そして、その瞬間。 (…あっ……?……あぁ゛ー!!…なっ…なんで……?) 声こそ、出さなかったが、驚きで、目を見開くハービィ。 ハービィが、驚いたのは、相手の服の袖口にあるカフスボタンが、光りが差し込んだ事で、遠くからでも、よく見えたからだ。 カフスボタンに描かれた紋様。 それは五本爪の竜。 (…マジかよ……でも、何で…?…) 茂みの向こう側に居る相手のとんでもない正体に、ハービィは気付く。 小さな二人の小さな邂逅。 (……なんでなんだよ……) 更なる波乱が幕を開ける。 [*前へ][次へ#] [戻る] |