BL小説「虜」
独白
数週間ぶりに会った‘アリファエル皇子殿下’の纏う雰囲気の微妙な変化に、セネガルは気付いた。
(おぉ〜…何やら…殿下に…艶めいたモンが漂ってんなぁ…)
セネガルは、顔には出さず、そう内心で驚く。
前に会った時の‘アリファエル皇子殿下’は、硬質的で近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
だが、今の‘アリファエル皇子殿下’の雰囲気は、硬質的な中にも、少しの柔らかさを含んでいた。
(…フムフムッ…良い変化だねぇ…)
セネガルにしてみれば、前の‘アリファエル皇子殿下’は完璧過ぎる‘皇子殿下’だった。
幼いながらも、一分の隙も無い立ち居振る舞いと、上に立つに相応しい覇気を持った‘皇子殿下’。
(…たけど、こんな殿下をあの方は、絶対に認めないんだろうなぁ…けど、陛下は……その辺を憂いてらしたしなぁ…まぁ、オレもだけど…)
冷めた目で人を見ている子供らしくない子供。
冷たい‘皇子殿下'らしさよりも、今の様に、人間らしさを見せはじめた‘皇子殿下'の方が、絶対に良いに決まっている。
(あのままなら……冷血な性格が形成されてたろうな)
それでは困る。
冷血な皇帝など、民には辛いだけだ。
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