BL小説「虜」
2
バイスは、その名を聞いた瞬間、クッと眉を寄せた。
(何故、リアーツが陛下の命を伝えに…?)
バイスの記憶にあるセネガル・リアーツという男は、副団長という立場にありながらも、女にだらしがなく、不真面目で、いい加減な性格が目立つ男。
だが、その半面。
セネガルが、自分に次ぐ剣の腕の持ち主であり、いざという時には頼りになる男という事をバイスは充分に知っていた。
(…どういう事だ…?命を伝えに来るだけならば…あやつでなくとも…)
と、ここまで、考えた後。
バイスは、ため息を一つ吐き出し、セネガルの待つ部屋へと向かう事にした。
(ここで、考えているよりも、話を聞いた方が早いな…)
しかし、まず部屋につくなり、バイスは呆れる事になった。
「リアーツ。相変わらず、貴様は、規範というものが守れない様だな?」
「やだなぁ〜…オレ、ちゃんと、守ってますよ?」
首元を開けさせ、だらしなくテーブルに足を投げだす姿。
それのどこが、きちんとしているというのか?。
本当に、これが誉あるガーメイル帝国第二師団副団長か?と、呆れるばかりのバイスだったが、セネガルという男は、誰が何を言った所で、たいして気にしないと知っている。
だからこそ、早く追い出すに限るとばかりに、言った。
「リアーツ。貴様は、陛下からの命令を伝えに来たのだろう?ならば、さっさと、出せ」
「はいは〜い。こちらでござ〜い」
軽口を叩いて、懐から一枚の封筒を取り出すと、それをセネガルはバイスへと手渡した。
「あっ、ちなみに…これを見たらすぐに行動!だそうですよ〜」
明らかに、面白がっているセネガルを睨みながら、バイスは封を開けた。
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