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BL小説「虜」
2
「待たせたか?」
「ううん」


その相手に向けるフィラムの表情を見た時、ハービィは妙な敗北感を感じた。





(…さっきよか、すげぇ、幸せそうな……楽しげな顔してんなぁ……)


自分では、フィラムに、こんな顔をさせてはやれない。

あれは、恋する顔だから。


家族愛しか向けてやれない自分には、させてやれない顔。


だが、二人のやり取りを見る内に、ハービィはある事に、違和感を抱いた。


それは……相手が、茂みから一定以上、近付かない事。


すぐ、手を伸ばせば、手の届く距離までは、来るのに…。


相手は、そこから先、一歩も動かない。


また、フィラムも、茂みから先に、行こうとはしない。





妙な距離感。



何かが、二人を隔てている。


そうハービィは感じ取った。





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