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BL小説「虜」
4
「私は二人目なのか?では、もう一人は?」

そうアリファエルが、聞くと、フィラムは少しだけ。


互いの顔の輪郭が分かる位置まで、近づきながら、答えた。


「一人目は、ばぁちゃん…。ボクは、母さんの宝だから、『フィラム(貴い)』って、名前なんだって、そう言ってた」

雲が月を覆っているので、完全には顔を認識する事は出来ない。


その安心感が、アリファエルを大胆にさせた。


おもむろに、茂みから手を伸ばして、フィラムの顔に触れた。

「ん……」
フィラムは、擽ったそうに、目を細めた。


アリファエルは、そのままの態勢で、質問を投げ掛ける。


「その方は、まだ健在なのか?」
「ううん…もう居ないよ…死んじゃった」
「そうか…では、ご両親は?」

その質問に、フィラムは、キュッと下唇を噛み。

「母さんは、ボクを産んで、その後に死んじゃった……父さんは、顔も知らない」
と、答えた。




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